2015 Fiscal Year Research-status Report
固形腫瘍の早期発見・増殖能診断を目的としたσ-2受容体イメージング剤の開発研究
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26860987
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | σ-2受容体 / vesamicol / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、新規vesamicol類縁体p-iodo-trans-decalinvesamicol (PIDV)がin vitro及びin vivoにおいて高いσ-2受容体親和性・選択性を有することを明らかにした。今年度は、σ-2受容体に対する親和性・選択性の向上を目的として、各種双環性構造を有する新規vesamicol類縁体群を合成し、in vitro評価を行った。 PIDVをリード化合物として、4-フェニルピペリジン部とシクロヘキサン部から成るvesamicol骨格を堅持し、パラ位にハロゲンを有する立体配置が各々異なるbicyclo[4.1.0]/[4.2.0]/[4.3.0]骨格を有する12種のvesamicol類縁体群をデザインし、有機合成を行った。合成した新規化合物を阻害剤(10種の濃度)として用い、標的部位とラジオリガンドの結合に対する阻害効果を調べるin vitro 薬物阻害実験を行った。VAChT に対する親和性は、ラット脳ホモジネートと(-)-[3H]vesamicolを、またσ受容体(σ-1/σ-2)に対する親和性は、ラット脳/肝ホモジネートと(+)-[3H]pentazocine/[3H]DTG を用いた。In vitro薬物阻害実験の結果、ベンゼン環上パラ位にブロモ基を有するvesamicol類縁体群はいずれも高いσ-2受容体親和性を示し、中でもbicyclo[4.2.0]骨格を有するPBcOVがvesamicolと比べて40倍以上の高いσ-2受容体親和性を示した。一方、双環性構造が大きくなるに従ってσ-1受容体親和性が下がる傾向が見られ、双環性構造の脂溶性・サイズの選択がσ-2受容体選択性向上において重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIDVをリード化合物とした12種の高選択的σ-2受容体リガンドの合成を行ったことで、研究の選択肢が大幅に多くなった。また、in vitro評価の結果により、これまで全く情報がなかったσ-2受容体における構造活性相関の傾向が分かってきたのは、非常に大きな成果だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性ヨウ素標識したPIDVのσ-2受容体イメージング剤としての評価を更に進める。また、これまでに分かってきた構造活性相関の傾向を基にして、σ-2受容体親和性・選択性の更なる向上を目的とし、PIDVの化学構造を基にした構造最適化を検討していく。
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Causes of Carryover |
腫瘍細胞の培養や担癌マウスの作成に必要な器具や消耗品の使用期限の管理を理由として、購入時期が次年度になった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
腫瘍細胞の培養や担癌マウスの作成、新たなσ-2受容体イメージング剤候補化合物群の合成に必要な動物、器具、試薬、アイソトープ試薬、消耗品の購入を予定している。また、研究成果の発表や情報収集を目的にした学会出張による旅費や、学術論文の準備に必要な経費の支出も予定している。
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