2014 Fiscal Year Research-status Report
乳癌におけるタキサン耐性機序のゲノムワイド解析と耐性克服への応用
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26861051
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
遠藤 友美 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20566228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳腺外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、次世代シーケンサーの登場により、膨大かつ正確なゲノム情報が短時間に得られるようになった。このようなデータを元にして、最近、HER2「陰性」乳癌におけるHER2遺伝子の体細胞変異が、HER2に対する分子標的治療への効果や抵抗性に関与することが報告された。このような背景を踏まえ、乳癌治療において、アンスラサイクリン系およびタキサン系薬剤キードラッグとして使用されてきたが、近年、タキサン系薬剤に無効な症例の存在が大きな臨床的課題となっている。本研究では、多数のタキサン抵抗性乳癌を対象に全エクソンシーケンス解析を行うことにより、共通する体細胞変異を見出し、その機能解析を通して、タキサン抵抗性メカニズムの解明とその克服を目指すことを目的とする。アンソラサイクリン系薬剤が著効したにもかかわらず、タキサン系薬剤を投与後、腫瘍が著明に増大してしまった6症例の凍結乳癌組織から、ゲノムDNAを抽出した。また、そのうち3症例は血液からもDNAを抽出し、計9検体を対象にHiSeq (Illumina)を使用して全エクソンシーケンスを行った。それらの結果から、生殖細胞変異の除外、すでに報告のある変異の除外、蛋白構造への影響の大きさの予測、共通の変異の抽出などを考慮して、タキサン抵抗性へ関与が強いと思われる変異に絞り込んだ。また、タキサン使用症例からのTotalRNAの抽出を行い、現在絞り込んだ変異をもつ遺伝子のメッセンジャーRNA発現を測定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在タキサン抵抗性へ関与が強いと思われる変異のある遺伝子のメッセンジャーRNA発現を測定中のため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、この遺伝子のメッセンジャーRNA発現、蛋白発現と予後、治療効果との相関を検討する予定である。また、絞り込んだ遺伝子だけでなく、メッセンジャーRNAのマイクロアレイも行い、変異との相関を網羅的に検証し、他の候補遺伝子の抽出も検討中である。さらに遺伝子を絞り込み、体細胞変異自体が薬物耐性に関与するかを細胞実験で確認する予定である。
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Causes of Carryover |
現在は絞り込んだ特定の遺伝子のメッセンジャーRNA発現を測定中であり、現在解析中である。引き続き、RT-PCRや免疫染色を行うが、症例の蓄積、遺伝子の追加がさらになされるため、その試薬等が引き続き必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TAqMan PCR当の遺伝子研究用のPCRキットや、免疫組織化学検討に用いる抗体などの購入、メッセンジャーRNAのマイクロアレイ等を行う。
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Research Products
(1 results)