2014 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌におけるMAGE-D4遺伝子の包括的機能解析と、新規血清マーカーへの応用
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26861066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高見 秀樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40723028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / MAGE-D4 / 血清マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らがその過剰発現が肝細胞癌の進展・再発と強く相関し、優れた予後因子であることを見出したMAGE-D4遺伝子に着目し、肝細胞癌の診断、治療における臨床応用の可能性を追求している。 平成26年度に予定していた研究はMAGE-D4遺伝子の機能解析である。 ・in vitro実験;予備実験より得られた結果から、MAGE-D4高発現細胞株を選別し、これらに対し、SiRNA法によるMAGE-D4のノックダウンを行い、それによる細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べる。 ・ in vivo実験;上記in vitro実験により確認されたノックダウンの手法および結果を応用し、in vivoでのMAGE-D4機能解析を行う。そのためにまずマウス皮下腫瘍モデルを確立する。 ・ 血管新生とMAGE-D4発現との相関性検討;HCCは血流豊富な腫瘍であるため、HCC切除標本を用いて血管新生マーカーであるVEGF, CD34およびHIF-1αの免疫染色を行い、MAGE-D4発現パターンとの相関性を解析し、MAGE-D4の血管新生への関与の可能性を調べる。 現在までの研究実績の概要を以下に記す。 ・in vitro実験;MAGE-D4高発現HCC細胞株を対象としてMAGE-D4に特異的な、siRNAを用いたMAGE-D4のノックダウンを行った。それにより、HCC細胞株の増殖能、浸潤能の低下を認めた。 ・免疫染色; HCC切除標本を用いてVEGF, CD34およびHIF-1αの免疫染色を行った。VEGFの発現度とMAGE-D4の発現度に関連があるものと思われた。 ・in vivo実験;今後の研究計画に必要となる、ヌードマウスを用いた皮下腫瘍モデルの作成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず研究計画に則り、MAGE-D4遺伝子の機能解析に着手した。in vitro実験では、MAGE-D4高発現株のHepG2およびPLC/PRF/5の3種類のHCC細胞株に対してsiRNA法によるMAGE-D4のノックダウンを行い、それによる細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べている。いずれもノックダウンによる増殖能、浸潤能の低下を認めた。in vivo実験のために、現在、ヌードマウスを用いた皮下腫瘍モデルの作成を行っている。また、血管新生とMAGE-D4発現との相関性検討を調べるため、HCC切除標本を用いて血管新生マーカーであるVEGF, CD34およびHIF-1αの免疫染色を行い、MAGE-D4発現パターンとの相関性を解析したところ、VEGF強発現例でMAGE-D4蛋白の発現度が高い傾向を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
MAGE-D4のHCC血清診断マーカーとしての有用性の検証を検証していく。HCC患者および健常者血清検体のおけるMAGE-D4の検出を行う。名古屋大学医学部附属病院にて、HCC症例から、倫理委員会の指針に則った文書による同意を得た上で、各治療段階における血清検体を採取している。コントロールとして、健常者ボランティアの血清も採取予定である。血清検体は採取後速やかに-80℃下で保存する。また、検体採取と同時に一般血液検査に加えてAFPおよびPIVKA-IIのデータも蓄積していく。検体準備が進んだところでELISA法による血清MAGE-D4レベルを測定し、組織中MAGE-D4発現度や各種臨床病理学的因子との相関性を解析する。
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