2014 Fiscal Year Research-status Report
肝内胆管癌におけるTGF-β活性化機構に着目した癌進展機構の解明
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26861088
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
林 洋光 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80625773)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | cholangiocarcinoma / TGF-β / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌は印刷業務従事者で極めて高頻度に認められ日本国内で問題となっている。中でも肝内胆管癌はリンパ節転移や遠隔転移を起こしやすく、抗癌剤への治療抵抗性も高い予後不良な消化器癌であり、さらなる癌進展の機構解明ひいては新規治療戦略の構築が必要である。TGF-β シグナルは正常上皮細胞や血管内皮細胞に対して増殖抑制作用を有する一方、癌細胞に対してはEMT を誘導し、癌の浸潤・転移に関与することが知られている。Transforming growth factor (TGF)-β-Smad シグナルを介した胆管癌の浸潤・転移機序解明を目的とする本研究に関して、1) TGFβ は癌細胞に対して強力な上皮間葉転換Epithelial-mesenchymal transition (EMT)を誘導因子である、2) TGF-β は生体内で不活化型として合成され細胞外マトリックスに貯蔵される、3) 局所のTGF-β シグナルは不活化型を活化型へ変換する活性化機構によりコントロールされる(活性化型TGF-β はTGF-β受容体と結合しシグナルを伝達する)、といったTGF-βの特徴を元に、TGF-β-Smad シグナルを介した胆管癌の浸潤・転移機序解明を目的とする本研究では、これまでの実験結果に基づいて局所のTGF-β 活性化機構を介したTGF-β-Smadシグナルを抑制することで肝内胆管癌の進展が抑制される、という仮説を立てた。本研究提案の最終目的は、TGF-β 活性化機構に着目して肝内胆管癌進展におけるTGF-β-Smad シグナルのメカニズムを分子生物学的に紐解くことにより、新しい肝内胆管癌治療法の基礎を築くことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) 胆管癌細胞株を用いた、TGF-β 添加によるIntegrin αvβ6 の発現上昇、EMT 誘導、Smad シグナル活性化の証明胆管癌におけるTGF-β によるEMT 誘導にIntegrin αvβ6 の発現上昇が関与していることを胆管癌細胞株を用いてまず証明する。→達成。TGF-β添加によるIntegrin αvβ6 の発現上昇が認められ、EMT誘導が確認された。Integrin αvβ6発現抑制にて浸潤能の減弱も確認された。 2) TGF-β 添加によるEMT誘導におけるIntegrin αvβ6 発現抑制によるSmad シグナル抑制の証明および浸潤能(EMT 関連遺伝子発現含む)への影響の検討、TGF-β によるEMT 誘導においてsiRNA によるIntegrin αvβ6 の発現抑制系を作成し、細胞内Smadシグナルの変化や浸潤能へ与える影響を検討する。→Integrin αvβ6が癌細胞の浸潤に関与していることは証明できたが細胞内signalの解明にまでは至っていない。 3) 胆管癌細胞株におけるIntegrin αvβ6 発現抑制による肺転移抑制効果(免疫不全マウスを使用)In vitro の実験結果から得られたIntegrin αvβ6 の発現抑制による癌浸潤・転移抑制効果をin vivoで確認する。→in vivoにまでは至っていない。 4) ヒト臨床検体でIntegrin αvβ6の発現検討と予後因子としての有用性の検索 ヒト肝内胆管癌組織中のIntegrin αvβ6 について、蛋白レベルでの発現状況を検討し、臨床病理学的因子や予後との関連について解析し、Integrin αvβ6 発現の臨床的有用性を検証する。→達成。切除標本のパラフィンを使用しIntegrin αvβ6 発現とリンパ節転移、脈管侵襲との関連は証明でき、予後との関連も認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだ達成できていない上記の2)、3)に関しての今後の推進方法であるが、2)に関しては現在ウエスタンブロットにて細胞内シグナルの変化を確認中である。細胞内シグナルの変化がどの時点で起こっているか掴めていないため、TGF-β添加からら検体採取までの時間を細かくわけ、実験を行っていく。 添加後1-6時間後にシグナル変化が起こっている可能性が高く、詳細に検討していく。 3)に関しては、in vivoの実験に至るまでの十分な結果が得られておらず、開始時期については不明である。 まずは上記細胞内シグナル変化の証明を行い、検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初想定より安価にて試薬を購入できた。また、研究の遅れから当初予定していた実験に進めなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞内シグナルの変化を確認するためのウエスタンブロットを行うが、細胞内シグナルの変化がどの時点で起こっているか掴めておらず、TGF-β添加からら検体採取までの時間を細かくわけ、実験を行っていく必要があるため、ウエスタンブロットに使用する試薬等の購入費に充てる予定である。 また、得られた研究成果について学会にて発表する際の旅費に使用したいと考える。
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Research Products
(4 results)