2014 Fiscal Year Research-status Report
多層カーボンナノチューブの関節内滑膜反応とケモカイン分泌量
Project/Area Number |
26861179
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野村 博紀 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (40646543)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 関節内滑膜炎症反応 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
Multi Walled Carbon Nnaotubes (MWCNTs) 複合ポリエチレン (MWCNTsPE) を人工膝関節の摺動面として用いた際の検討を行った。MWCNTsPEが膝関節内でそれぞれ約1年、10年、100年用いられた場合に摩耗粉として関節内に露出すると思われるMWCNTs量を10週♂の両膝関節内に投与して、その滑膜反応を評価した。比較ナノサイズ炭素材料としてCarbon Black (CB) を用いた。CBは100年摩耗量のみの投与とした。コントロール群では生理食塩水を同様に両膝関節内投与した。 生食投与群では投与後1週、4週、12週と全ての時期において正常な滑膜組織が認められ、滑膜表面には滑膜線維芽細胞 (B型細胞) が存在していた。1年分摩耗量CNTsを投与した場合、投与後1週の時点でCNTsは滑膜表面に存在する滑膜上皮細胞よりやや深層の滑膜内に取り込まれ、周辺にはマクロファージ、リンパ球の集積を認めた。強拡大で見るといくつかのマクロファージは自身のライソソーム内にCNTsを取り込んでいた。このようなCNTsに対する軽度の滑膜炎症反応は経時的に収束傾向にあり、12週の時点ではその反応は組織的に完全に鎮静化していた。100年摩耗量CBを投与した場合、全ての時期においてCBは滑膜表面にほぼ付着した状態で存在しており、ごくわずかなマクロファージを始めとする異形細胞の集積のみが認められた。このように1年分摩耗量CNTs投与に関しては、組織学的にはほぼ正常な滑膜が認められた。10年分摩耗量MWCNTsを投与した場合、1年分と同様に起こった滑膜炎症反応はその反応領域が明らかに大きく、CNTsもより滑膜深層へと取り込まれていた。周辺には同様にマクロファージ、リンパ球を始めとする炎症細胞の浸潤が認められた。反応は経時的に収束し、12週の時点では固定していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験当初困難と思われた多層カーボンナノチューブのラット膝関節内投与の手技がほぼ確実に行えるようになり、実験系として確立された。難関である動物実験を8割終え、順調な実験進捗状況であると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後早期に約100年分摩耗量であるMWCNTsの関節内投与を行い、組織評価する。 細胞実験にて滑膜細胞、マクロファージによるMWCNTsの毒性を評価する。
|
Causes of Carryover |
動物の追加購入、細胞実験に必要な試薬購入のため生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の実験結果をもとに、さらなる動物実験、細胞実験により多層カーボンナノチューブの滑膜細胞に対する評価を細部にわたり検討する。
|