2015 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣粘液性腺癌に対する新しい培養法の確立と抗癌剤感受性試験への応用
Project/Area Number |
26861325
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敏啓 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (90584524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 難治性卵巣悪性腫瘍 / 初代培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、卵巣癌の標準治療として用いられるパクリタキセル、カルボプラチンによる化学療法が奏功しにくい卵巣粘液性腺癌に焦点を置き、その初代培養系を確立することを目的とした。これまで、報告されているCTOS培養の手技を用いて初代培養細胞塊の作成を試みたが、増殖させることが困難であった。粘液性卵巣境界悪性腫瘍では腸上皮型の存在が知られており、腸管上皮と類似した性格を有する可能性を考えた。腸管上皮幹細胞の培養では4因子(Wnt,ニコチンアミド、アクチビン様キナーゼ阻害剤、p38阻害剤)を培養液に加える報告がある。粘液性腺癌の培養に際しても上記4因子を加えることを計画し、進めようとした。Wntについては、報告されているものについては海外の研究室に権利があり、使用についての話し合いを進めようとしたが、うまくいかず、手に入れることはできなかった。残りの因子を用いて様々な条件下で培養を試みている。現在のところ培養による増殖、マウスに移植可能な条件は得られていない。粘液性腺癌、粘液性境界悪性腫瘍のCTOSの作成についてはこれまでの報告による方法により可能であり、作成、保存を繰り返した。症例の蓄積中である。 粘液性腺癌、および粘液性境界悪性腫瘍の症例については発生頻度がまれなため、2年間での症例蓄積が思うように進んでいない。本研究期間中に十分に進めることはできなかったが、粘液性腺癌、粘液性境界悪性腫瘍に対する治療法の確立について新しい手技の確立は必須であり今後も蓄積を重ね、分析に用いることができるように進めていきたいと考えている。
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