2015 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣凍結融解は胚のゲノムインプリンティング異常の原因となりうるか?
Project/Area Number |
26861347
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
林 篤史 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80411338)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵巣凍結 / DNAメチローム / テストステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
担癌患者に対する妊孕能温存法の一つとして、卵巣凍結が注目されている。一方、生殖医療とDNAメチル化異常との関連が示唆されている中で、卵巣組織凍結による影響はいまだ解明されていない。我々は雌雄始原生殖細胞の包括的なDNAメチル化マップ(DNAメチローム)を作成し、生殖細胞形成過程の中で卵巣組織凍結がDNAメチロームに及ぼす影響について詳細なプロファイリングを行うことを計画した。まず、卵巣組織保護作用を持つ物質を検討する中でテストステロンに注目し、検討することとした。不妊症患者における血清テストステロン値は採卵数と正の相関関係を示し、血清テストステロン値が卵巣予備能の指標となりうることが示唆された。不死化顆粒膜細胞を用いた検討では、膜型アンドロゲン受容体の刺激により、PI3K/ AKT-Fox3aシグナル経路を介してBimELの発現が抑えられ、PARP、Caspase3の活性が抑制された。このことから、テストステロンには顆粒膜細胞に対する抗アポトーシス作用があることが示唆された。また、マウスにおいてシクロフォスファミドによる卵巣毒性に対しても、同様の抗アポトーシス作用を示し、卵巣予備能の指標である血清AMH値の低下を減少させた。以上より、テストステロンは卵巣保護作用を有することが示唆された。現在臨床研究として、不妊患者における卵巣予備能低下症例に対するテストステロン投与の有用性について検討中である。
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[Presentation] 子宮内膜症における低テストステロン環境の顆粒膜細胞に対する影響の検討2015
Author(s)
小野 賀大, 田辺 晃子, 林 正美, 藤田 太輔, 林 篤史, 八田 幸治, 劉 昌恵, 田吹 邦雄, 中村 真由美, 大門 篤史, 寺井 義人, 大道 正英
Organizer
日本産婦人科学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2015-04-09 – 2015-04-12
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[Presentation] テストステロンの抗癌剤からの卵巣保護作用の検討2015
Author(s)
劉 昌恵, 田辺 晃子, 中村 真由美, 八田 幸治, 芦原 敬允, 小野 賀大, 中村 起代子, 林 篤史, 藤田 太輔, 林 正美, 寺井 義人, 大道 正英
Organizer
日本産婦人科学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2015-04-09 – 2015-04-12
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[Presentation] 血清テストステロン値は卵巣予備能の指標として有用性である2015
Author(s)
林 篤史, 林 正美, 高 智恵, 中村 真由美, 劉 昌恵, 小野 賀大, 渡辺 綾子, 藤田 太輔, 田辺 晃子, 寺井 義人, 大道 正英
Organizer
日本産婦人科学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2015-04-09 – 2015-04-12