2015 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性副鼻腔炎における抗酸化作用に基づく新たな治療戦略の試み
Project/Area Number |
26861417
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小野 倫嗣 順天堂大学, 医学部, 助教 (10433773)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸 / 抗活性酸素因子 / Superoxide dismutase / 好酸球 / マクロファージ / リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性副鼻腔炎・鼻茸は耳鼻咽喉科の日常診療において頻繁に遭遇する疾患で,鼻閉,鼻漏,嗅覚障害などの原因となり患者の生活の質を低下させる。従来の慢性副鼻腔炎の大部分は,細菌感染による急性炎症の反復と持続を契機として発症する化膿性副鼻腔炎であったが,近年これとは異なる機序,すなわち何らかの形でアレルギーや好酸球性炎症が発症に関与する新たな副鼻腔炎の病型が増加してきている。One airway, one diseaseの観点より、気管支喘息と慢性副鼻腔炎は病態が類似しており、上気道と下気道は密接な関係があると考えられている。気管支喘息において、気道粘膜の上皮障害やリモデリングは、気道粘膜に集簇した好酸球、マクロファージなどの炎症細胞から放出される、活性酸素の増減の関与が示唆されている。そこで、生体内のフリーラジカルを抑制する抗酸化酵素のSuperoxide dismutase(SOD)、Heme Oxygenase-1(HO-1)、Glutathione peroxidase、Catalaseなどが病態に関与している。喘息合併の難治性副鼻腔炎の1つである好酸球性副鼻腔炎が注目されている。今回の結果は、①IL-17A陽性浸潤細胞が多量に喘息合併慢性副鼻腔炎に存在すること、②IL-17A陽性細胞は鼻茸上皮剥離、基底膜肥厚のリモデリングや重症度と相関すること(Saito T et, al:Int Arch Allergy Immunol 151;8-16, 2010)。好酸球性副鼻腔炎鼻茸を用いて、組織内好酸球浸潤と抗酸化物の1つであるHeme Oxygenase-1(HO-1)、マクロファージとの関連性がある(Kawano K et al:Auris Nasus Larynx 39,387-392, 2012)。難治性かつ再発性の好酸球性副鼻腔炎の防御因子の作用機序が解明された。
|
Research Products
(1 results)