2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素上皮細胞による眼内ミエロイド細胞制御機構の解析と新規治療分子の検討
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26861438
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堀江 真太郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40376744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミエロイド細胞 / マクロファージ / 網膜色素上皮細胞 / 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はミエロイド細胞としてヒト単球細胞株であるTHP-1を用いたin vitroによる研究を主に行った。はじめにTHP-1にPMA (Phorbol 12-myristate 13-acetate) 刺激を行いヒトマクロファージ細胞を誘導した。次に代表的なM1マクロファージの誘導因子であるIFN-γ (Th1サイトカイン)やM2マクロファージの誘導因子であるIL-4およびIL-13(Th2サイトカイン)による刺激と、プロスタグランジンE2 (PGE2) の刺激によるマクロファージからのVEGFおよび各種炎症性サイトカイン、ケモカインの産生能を比較検討した。PGE2は網膜色素上皮細胞より恒常的に産生されるため、眼内環境に類似したモデルとして検討対象とした。これらの蛋白測定はELISA法やCBA法などによって行った。さらに上記のサイトカイン刺激に加え、糖尿病合併症の病態形成の重要な要因と考えられる終末糖化産物 (AGEs)を培養上清中に負荷した上での各種サイトカインやケモカイン産生能の比較検討も行った。 その結果、PGE2刺激ではTh2サイトカイン以上のVEGF産生亢進がみられた他、AGEsによってもVEGFの高い産生能が示されていた。さらにAGEsによる刺激では、IL-1βやIL-6 などの炎症性サイトカインだけでなくIL-8やRANTESなどのケモカインの産生も強く誘導されることがわかった。 これらの結果から、眼内由来のPGE2や高血糖下のAGEsによってマクロファージなどのミエロイド細胞からVEGFや血管新生に関与するとされるケモカインが誘導されており、糖尿病網膜症をはじめとする病的網膜血管新生の機序解明につながるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトミエロイド細胞において、M1、M2マクロファージ誘導サイトカインと本研究で着目しているプロスタグランジンE2(網膜色素上皮産生サイトカイン)の刺激を行い、眼内でのヒトミエロイド細胞の形質獲得の傾向を確認することができた。同様に糖尿病合併症の原因因子とされている終末糖化産物によるミエロイド細胞への直接的な影響についても検討し、得られた結果については、糖尿病眼合併症における血管新生の機序解明につながるものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の研究計画として眼内ミエロイド細胞の形質獲得、制御を目的とした治療分子の検討を行う。具体的にはミエロイド細胞を制御するとされるミノサイクリンやマウスレベルで効果を報告しているCD200Fcなどの分子を候補として、前年度で確認されたin vitroのモデルなどを用いながらマウスによる動物レベルでの検討も含めて研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度において主にヒト単球細胞株をミエロイド細胞として実験を行ったため、計画していたマウスの購入がなかったことや、末梢血からの単球分離を必要としなかったため比較的高価な分離ビーズを購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、平成26年度で購入しなかった分離ビーズやマウスなどによる実験も計画し支出予定である。
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Research Products
(2 results)