2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861479
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 敦子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主任研究員 (60569143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 緑内障 / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では中枢神経系に特異的に発現するguanine nucleotide exchange factor (GEF) の1つであるDock3 の機能に注目し、神経保護と軸索再生療法の可能性を検討する。特に網膜神経節細胞(RGC)に対する保護効果のメカニズムを解明し、さらに緑内障や視神経損傷モデル動物における治療効果をin vivoで解析する。一方Dock3はオリゴデンドロサイトにも発現することから、視神経脱髄を発症する疾患モデル動物を作製し、ミエリンの保護や再髄鞘化に与える影響を検討する。Dock3過剰発現マウスにCuprizoneを投与して脱髄疾患のモデル動物を作成したところ、野生型マウスに比べてミエリンが保たれ、視機能も維持することがわかった。 また正常眼圧緑内障モデル動物に対してバルプロ酸を毎日投与したところ、治療開始から2週間後には網膜神経節細胞死の抑制が観察され、視機能障害の進行も予防できることがわかった。一方、高濃度のグルタミン酸をマウスの眼球に投与すると網膜神経節細胞死が観察されるが、この時にバルプロ酸を投与したマウスでは網膜変性が抑制され、網膜機能も保たれていた。バルプロ酸は網膜のグリア細胞に発現する神経栄養因子 (BDNF)の発現量を上昇させる。そこでBDNFの受容体であるTrkBが網膜神経節細胞から欠損するマウスで同様の毒性実験を行った。その結果バルプロ酸の神経保護効果が大きく減少したことから、バルプロ酸による神経保護作用にはBDNF-TrkB経路が関与することが明らかとなった。以上から既存薬であるバルプロ酸の神経保護作用が緑内障治療にも有用な可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Dock3によるミエリン保護効果に加えて、バルプロ酸による神経保護効果について、合計3報の論文発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きDock3による神経保護効果と、視神経炎に対する治療効果を検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品費の節約などにより、支出の抑制に成功した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会出張、論文出版費なども含めて、消耗品などを中心に使用予定である。
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[Journal Article] Valproic acid prevents retinal degeneration in a murine model of normal tension glaucoma.2015
Author(s)
Kimura, A., Guo, X., Noro, T., Harada, C., Tanaka, K., Namekata, K. and *Harada, T
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Journal Title
Neuroscience Letters
Volume: 588
Pages: 108-113
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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