2015 Fiscal Year Annual Research Report
口腔領域に発症した癌に対するグルタミン酸受容体をターゲットとした新規治療法の開発
Project/Area Number |
26861750
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本田 訓也 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (20548945)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌性疼痛 / 代謝型グルタミン受容体 / 癌細胞の増殖・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Group 1として分類される代謝型グルタミン酸受容体 (mGluR) であるmGluR5が、末梢神経損傷後や慢性炎症により発症する異常疼痛に関与することが知られている。さらに、様々なmGluRサブタイプが癌細胞の膜上に発現し、その受容体を介したシグナルが癌細胞の増殖・分化に関与する可能性が示唆されている。しかしながら、癌性疼痛および癌細胞の増殖・分化に対するmGluR5の役割は不明である。そこで、本実験は癌性疼痛の発症・維持および癌細胞の増殖・分化のメカニズムを解明することを目的とした。 ラット由来扁平上皮癌細胞を顔面皮下に播種した頬粘膜癌モデルラットを用い、経日的な顔面部への機械刺激に対する逃避反射閾値 (HWRT) および腫瘍の大きさの測定を行った。また、頬粘膜癌モデルラットの顔面皮膚のグルタミン酸の濃度の測定および培養SCC-158細胞と頬粘膜癌モデルラットの顔面皮膚におけるmGluR5免疫染色を行った。さらに、頬粘膜癌モデルラットの顔面皮下にmGluR5の選択的アンタゴニストであるMTEPの持続投与を行い、経日的な機械刺激に対するHWRTおよび腫瘍サイズの測定を行った。SCC-158播種によりPBS処置郡と比較し、機械刺激に対するHWRTは有意に減少し、腫瘍の大きさは増大した。また、SCC-158播種により顔面皮膚のグルタミン酸の濃度は増加し、mGluR5は培養SCC-158細胞上および腫瘍組織におけるKi-67陽性細胞上のみならず、1次神経終末の末梢端にも発現を認め、三叉神経節におけるmGluR5及び細胞内シグナル伝達に関与するとされているPKC epsilon発現が増加した。さらに、MTEPの持続投与によりSCC-158誘発機械アロディニアは有意に回復し、腫瘍サイズも有意に減少した。以上の結果より、mGluR5を介したシグナルが顔面領域における癌誘発機械アロディニアおよび癌の増殖・分化に関与することが示唆された。
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Research Products
(8 results)