2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾が胎生期下顎隆起の形態形成制御機構に果たす役割
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26861794
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10510018)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期の形態形成を制御し、相互に関与する複数の因子の一つとして、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)が挙げられる。HDACは、ヒストンの過剰アセチル化を解除し、遺伝子転写を抑制する働きのあることがわかっている。また、これまでに我々は、ラット胎生期において、Fibroblast growth factor (FGF) 情報伝達系がExtracellular Signal-regulated Kinase (ERK) シグナルを介して下顎隆起の形態形成を制御していることを明らかにしてきた。本研究では、ラット胎生期下顎隆起において、HDACがERKシグナルと共同で様々な遺伝子の発現を時間的・空間的に制御することによって、下顎の形態形成が起こるという仮説を立て、HDACの下顎器官形成における表現型への関与と、そのメカニズムを解明することを目的とする。 ラット胎生期下顎隆起に適応する前段階として、マウス軟骨前駆細胞株ATDC5において、Hdac1およびHdac2のsiRNAを導入した。コントロールとしては、Alexa-488ラベルのnegative control siRNAを使用した。培養開始1および2日後にTotal RNAを回収し、Hdac1および2のノックダウンを確認した。さらに、HdacのsiRNA導入により、核内ヒストンアセチル化の変化をウエスタンブロットで評価したところ、明確な結果は得られなかった。さらに、ラット胎生期下顎隆起由来細胞の高密度培養において、HDAC阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)およびバルプロ酸(BPA)添加により、軟骨ノジュールの形成が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Hdacのノックダウンによってアセチル化ヒストンが増加すると予想していたが、明確な結果が得られなかったため、実験がやや遅れている。核タンパクを含めたトータルタンパクではなく、ヒストン選択的に抽出する方法や、アセチル化ヒストンの酵素活性を測定する方法への変更行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ATDC5細胞株において、siRNAおよびHDAC阻害剤(TSAおよびBPA)によるヒストンH3およびH4のアセチル化の変化、およびアセチル化ヒストンの酵素活性の変化を検討する。次に、ラット下顎隆起の単層培養において、siRNAおよびHDAC阻害剤を導入、培養後、4%PFAにて固定、ERK1/2抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、ERKの核移行の状態を蛍光顕微鏡下で観察する。また、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミドを添加した1時間後に同様の実験を行い、HDAC阻害によるERKの家政科は新規タンパク合成を必要とするものであるかどうかを検討する。 次に、胎生期ラット下顎隆起において、局所的なHDAC阻害による形態形成の影響を調べるために、下顎隆起器官培養にHDAC阻害剤をしみ込ませたビーズを埋入、器官培養を継続する。ビーズを埋入する部位は下顎隆起中央部、側方部の二領域に分ける。その後、経時的な培養を行い、4%PFAにて固定後、パラフィン切片を作製し、下顎隆起の形態形成に関わる遺伝子(Barx1, Bmp4, Fgf8)の発現パターンについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定であった密閉式超音波破砕装置の購入を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に購入する予定である。
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