2015 Fiscal Year Research-status Report
日本における皮下注射前の皮膚消毒実施の有無に関わる要因の構造
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26861850
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 祐子 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (10646805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮下注射 / 消毒 / エビデンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究計画書の目的2 患者側の要因(認識・実態)を明らかにする、と目的3 患者に与える身体的影響と心理的影響を明らかにする に関する質問紙調査を実施した。 日常的に皮下注射を実施する患者としてインスリン自己注射を実施している糖尿病患者を対象に、その認識と実態について調査を実施し明らかにした。加えて、皮膚消毒実施の有無と関連する要因についても調査を実施し、その検討も行った。 本研究の成果の意義は、皮下注射前の皮膚消毒の実施状況について患者の実態が明らかになったことで、今後は実態を踏まえた指導が可能となることがある。また、従来、皮下注射前の皮膚消毒は局所感染を防ぐ目的で実施されているが、本調査の結果では、局所感染である皮膚トラブルの発生と皮膚消毒の未実施には因果関係が考えにくく、皮下注射前の皮膚消毒は、省略しても感染を起こさないという先行研究(Koivisto, et al, 1978, Fleming, et al, 1997)を否定できない結果となっており、今後の皮膚消毒の在り方について考える資料の一つとなることである。 近年、本テーマである皮下注射前の皮膚消毒に関しては、災害などの緊急時は不要であることがマニュアルに明記されたことや、優先度が低いプロセスであることが看護師国家試験に出題されており、注目されている。本研究の結果は、災害時だけでなく、非常事態時の対応を判断する上でも有用な情報となり、今後の患者指導、基礎看護教育を考える上での有用な資料と成り得る。 なお、本研究の目的は、皮下注射前の皮膚消毒の必要性を検証するものでは無く、医療者と医療の受け手が状況に応じて皮下注射前の皮膚消毒の実施の有無を選択できる情報を提示することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、目的1~4を設定していた。目的1の平成26年度に取り組んだ研究の論文発表が終了しておらず、この点については遅れている。しかし、本年度までに、目的2~4として実施予定である研究のデータ収集・分析は、計画より前倒しして終えることができた。そのため、上記の進展と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅延している論文発表は投稿段階にあり、今後は、平成27年度に収集し、分析したものを、学会発表と論文執筆をする予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表、論文投稿のための費用である。 当該年度では、データ収集と分析を中心に進めたため、本来であれば、当該年度発表予定の論文、学会発表を来年度に実施する予定としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、平成28年度5月と9月に国内学会発表、3月に国際学会発表予定、平成28年度中に国内学会論文2本投稿予定であり、このための旅費と投稿にかかる費用として使用予定である。
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