2015 Fiscal Year Research-status Report
看護技術における「わざ」の検証 -看護師の熟練した手の使い方の可視化-
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26861868
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
明野 伸次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40364260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 看護技術 / 手 / 安楽 / タッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常的な看護行為における熟練した手の使い方を「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」から可視化し、患者役の「主観的評価」と「生理的評価」で検証することである。 平成27年度は、看護師と看護学生が実施する仰臥位から側臥位の体位変換における「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」の違いを明らかにした。手指・手掌の触れている部分と接触部位にかかる強さの測定には、ワイヤレス触覚測定システム(PPS 社 Finger TPS 米国)を活用し、左右の第1指から第5指および手掌にセンサを取り付け,実施行為に沿って経時的に接触部位にかかる強さ抽出した.結果、頭部を持ち上げる際や、対象者の身体を傾ける際に「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」の違いが認められた。例えば、頭部を持ち上げる際の「頭部の下に手を差し入れる」行為では、学生は左右の第3指を同時に対象者の頭部にあてて、対象者の頭部の下に手を差し入れて頭部を持ち上げていた。そのため、右手の第3指の接触部位にかかる力は学生の方が強かった(P<.01)。一方、看護師は、左手を第5指側から頭部の下に差し入れ、その後に右手を第5指側から手を差し入れて頭部を持ち上げていた。そのため、右手の第5指の接触部位にかかる力は看護師の方が強かった(P<.05)。また、患者役の主観的評価は、学生よりも看護師の方が安楽であったが、生理的評価に違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、看護師と看護学生が実施する仰臥位から側臥位の体位変換における「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」の違いを明らかにした。 患者役の生理的評価に差はなかったものの、主観的評価は看護師の方が安楽であったという結果から、「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」の違いは、熟練した手の使い方を客観的に示すことの糸口になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、客観的に示した熟練した手の使い方を、学生が修得するための介入を検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進行具合から、学会発表を見合わせたことが大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験のための研究対象者および研究補助者への謝金が大部分を占める予定である。
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