2014 Fiscal Year Research-status Report
サービス付き高齢者住宅への将来入居ニーズと施設内での看取り機能に関する実証研究
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26861960
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉本 健太郎 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80724939)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 看取り / サービスつき高齢者向け住宅 / 療養場所 / 将来ニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第一に、これから高齢者となる中年者たちが介護が必要になった場合に希望する療養場所の実態とその予測因子を明らかにすること、第二に、今後在宅医療・在宅介護の拠点となり、終末期の高齢者を受け入れ、看取りを行っていくことが期待されている「サービス付き高齢者向け住宅」という高齢者専用住宅が高い看取り機能を持つことの予測因子を特定することを目的としている。
本年度には、主に次の2点について研究を遂行した。 (1)某市の市町村介護保険事業計画作成に係るアンケート調査結果を許可を得て分析した(対象者:無作為抽出された40-64歳の住民2,000名、回収率:45.3%、最終分析者数:693名)。その結果、療養場所として6割以上の対象者が自宅を希望し、“家族介護の経験がないこと”、“多くの情報源から市政や高齢者福祉サービスに関する情報を得ていること”等が施設に対して自宅を希望することの予測因子だった。この知見により、今後政府が在宅医療・在宅介護を推進するためには、中年期の家族介護者の介護負担を軽減するとともに、多くの情報源から高齢者福祉に関する情報を提供することが必要であることを提言することができた。当該分析内容は、第73回日本公衆衛生学会にて報告しており、今後学術雑誌に投稿予定である。
(2)高齢者施設の看取り機能の評価指標及び高い看取り機能に関連する要因についての文献レビューを実施した。このレビューにより、看取り機能を評価する一指標として施設の定員等を調整できる“看取り率”が施設間の看取り機能を比較するために有用であることが示唆された。また、高い看取り機能には“施設内外の医療と連携している”、“入居者・家族への事前意思確認を行っている”、“開設してからの期間が長い”等が関連していることが示唆された。レビュー内容については今後学会発表・学術雑誌への投稿をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の目的であった、これから高齢者となる中年者の希望する療養場所の実態とその予測因子については本年度の研究結果によって明らかにすることができた。今後は当該知見の学術雑誌への投稿を進めていく。
また、第二の目的である「サービス付き高齢者向け住宅」が高い看取り機能を持つことの予測因子の特定についてはこれから研究デザインを決定していくところだが、本年度行ったレビューによって、当該目的のための調査実施にあたり、看取り機能を評価する指標として看取り率を使用することが有用であること、関連要因として医療との連携、事前意思確認等の看取りに対する取り組み、開設年等を調査項目に含めるべきであることが確認できた。今後は対象施設数や調査方法等の研究計画を固め、来年度調査を実施していく予定である。
本研究でこれまで得られた知見の学術雑誌への投稿は今後行っていく予定ではあるが、現在までの研究進捗状況は当初の研究計画から大きく逸脱しておらず、現在までの達成度は“おおむね順調に進展している”とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第二の目的に対して、対象施設の選定や調査方法の検討等の研究デザインを検討後、調査を実施していく予定である。 そして、その結果を統計的に処理し、「サービス付き高齢者向け住宅」が高い看取り機能を持つことの予測因子を特定する。
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Causes of Carryover |
サービスつき高齢者向け住宅を対象とした調査は当初郵送調査を予定していたが、当該住宅数ヶ所に訪問し、調査実施に関する意見を仰いだところ、アンケート郵送調査による回収率を確保することが困難であることが想定された。 したがって、現在は調査員を雇用してのアンケート留め置き調査を検討しており、その雇用にかかる人件費や交通費を確保すべく、本年度の研究費使用額を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は、主にアンケート調査(印刷代、対象施設訪問および回答情報入力等に伴う人件費)、データ分析ソフトの購入、得られた知見の公表(学会発表、学術雑誌への投稿)等のために使用する。
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Research Products
(1 results)