2015 Fiscal Year Annual Research Report
小規模島嶼における看護実践モデル開発-エスノグラフィによる熟達化プロセスの解明-
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26861985
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森 隆子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50507126)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小規模島嶼 / 看護実践モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究では、小規模島嶼における看護実践モデルの開発を目的とする。「島嶼において、看護職の役割はいかにして形成されるか」をRQとし、特に看護職の内的な視点からみた看護実践モデルの「動的な構造化」を図るものである。【対象】島嶼で働く看護職(看護師・助産師)【方法】参与観察ならびに聴き取り調査【結果・考察】小規模島嶼において、「本人(価値観・信念)」「周囲環境」「出来事」との相互作用により、流動的かつダイナミックに看護職の役割形成がなされていることが分かった。<看護職としての自己><住民としての自己>との境界が入り混じりやすい島嶼空間において、当該島嶼の地域性(文化・凝集性・開放性)や看護職の立場性(専門職であるということ/よそ者か身内か(地元における立ち位置))を含んだ構造は、看護実践モデル形成における相互作用のあり方に影響をもたらす可能性が示唆された(社会的関係性において生成される看護実践モデル)。地域との相互作用のあり様が自律的で創造的な看護活動を生み出すこともあれば、逆に実践の範囲を縮小させてしまうこともあると考えられた。今回の対象では、時に島嶼空間における構成員との信念対立の中で自らを律し続けた人、多様性を包摂してしなやかに看護職役割の拡張につなげる人、看護職であることの迷いの中にありながら住民のもとへ足を運びつづける人といった、実に多様な看護実践モデルのバリエーションが見出された。このように地域のダイナミズムに揉まれながら自らの役割を模索するべく試行錯誤する様は、看護職・地域の双方にとってきわめて固有のプロセスであると考えられた。今後、個々のケースにおける看護実践モデルの統合・精緻化を図る。
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Research Products
(2 results)