2014 Fiscal Year Research-status Report
現代モンゴルにおける人と宗教の移動に伴う新たな共同体形成に関する宗教社会学的研究
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26870051
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
滝澤 克彦 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80516691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宗教社会学 / モンゴル研究 / 国際情報交換 / 人口移動 / 宗教の越境 / 福音派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、モンゴル国および韓国における現地調査を実施し、モンゴル国の都市部および草原部と国外(韓国)において、キリスト教によって取り結ばれる共同体の実態と特徴について明らかにした。 2014年8月19日から9月5日にかけてモンゴル国で行った調査では、ウランバートル市内の福音派教会と福音派系NPOで参与観察調査を実施し、福音派による援助活動が「救い」の感覚をともなって孤立した人々を結びつける重要な契機となっていることを明らかにした。また、トゥヴ県の草原部では、遊牧民の福音派教徒に対する調査を実施し、都会から遠く離れた場所にありながら、信仰にもとづく共同性が彼らをグローバルなネットワークに結びつけていることを明らかにした。 2015年2月11日から13日にかけてモンゴル国で行った調査では、ウランバートル市において在韓経験のある福音派教会牧師に対する聞き取り調査を行い、韓国のモンゴル人教会の実態や母国と韓国の福音派ネットワークに関する情報を収集した。また、同市の聖典聖書協会における聞き取り調査によって、聖書翻訳事業を通じたモンゴルの教会と韓国人宣教師の影響・協働関係について明らかにした。 2月14日から16日にかけて韓国で行った調査では、ソウル市の韓国中央教会中谷洞のモンゴル人集会において参与観察調査を行い、韓国におけるモンゴル人福音派教徒の宗教活動と生活の実態に関する調査を行った。 以上の調査で得られた資料の分析によって、在韓モンゴル人教会の活動実態と、キリスト教会が在韓モンゴル人を引きつける諸要因、モンゴルの教会と在韓モンゴル人集会との影響関係などが明らかになった。これらの成果を2つの学会および2つの研究会において発表、また2冊の著書において公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象および地域の順序が多少前後したものの、3ヶ年の計画全体に対しては調査すべき項目を調べられており、研究目的の達成度は「おおむね順調」であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続きモンゴル国と韓国における調査を行い、新たに米国へのモンゴル人移住者に対する調査を実施する予定。特に米国におけるモンゴル人共同体の形成に対してキリスト教や仏教が果たしている役割について調べる。ただし、調査時期や順序については、調査対象者や地域の状況に合わせて臨機応変に対応する。また、以上の研究成果については、複数の学会および著書において発表する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 現代モンゴルを知るための50章2014
Author(s)
小長谷有紀、前川愛、内田敦之、バヤルフー・エンヒジン、大束亮、岡安智生、サンジャースレン・オヨン、神﨑美津子、楜澤能生、齋藤美代子、島村一平、鈴木由紀夫、髙橋梢、滝澤克彦、サンピルドンドブ・チョローン、束田和弘、グレゴリー・デラプラス、冨田敬大、永田俊、ツムルバータル・ナルマンダハ他
Total Pages
328(29-34, 275-279, 286-290)
Publisher
明石書店