2014 Fiscal Year Research-status Report
精神科デイケア導入期における看護支援を包含した早期リハビリテーションの評価
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26870253
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
千々岩 友子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40637104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神科デイケア / デイケア導入期 / 看護支援 / 早期リハビリテーション / 体験 / デイケア利用者 / 当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神科デイケア導入期は、地域で生活している精神障がい者が、デイケアにおいて初めてリハビリテーションを開始する時期である。したがって、導入期は早期リハビリテーションを担う重要な機能をもつ。導入期のリハビリテーションに関して、効果を検証した研究は数少なく、さらに看護支援を包含した研究は見あたらない。よって、本研究は、精神科デイケア導入期における看護支援を包含した早期リハビリテーションの評価を明示するとともに、早期リハビリテーションを向上させるための効果的な看護支援を解明する。平成26年度は、精神科デイケアを利用する精神障がい者が、中断率の高いとされる導入期を通じてどのような体験をしているのかを明らかにし、看護への示唆を得た。対象者は、精神科デイケアを初めて利用し、導入期を経験した利用者9名であり、平均年齢41歳、デイケア利用期間は2~7か月であった。対象者に対して導入期での体験や看護師に対する支援ニーズを半構成的インタビューを行い、質的記述的に分析した。分析の結果、9のカテゴリーと36のサブカテゴリーに集約された。カテゴリ―は【初めての体験ばかりで戸惑う】【他者との関わりを閉ざす】【適応しようと試みる】【コミュニケーションで苦悩する】【他者と徐々につながる】【周囲の人々の声かけで安心する】【見えない先行きに焦る】【生活行動が広がる】【回復を自覚する】であった。利用者は、デイケアという初めての空間で戸惑い、他者との関わりを閉ざしながらもプログラムの参加を通して適応しようとしていた。また他者とつながることは、他者と自己を意識することになり、先行きへの焦りとともに回復への実感をもたらしていることが明らかになった。よって、看護師は初期の戸惑いを最小限にするために詳細なオリエンテーション行い、先行きへの焦りに対して見通しが得られるような関わりを行っていく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究予定は、多職種によるグループインタビューをもとに導入期の看護支援リストを作成する予定であった。しかしながら近年の当事者主体のリカバリー概念を重視し、デイケア導入期を経験した利用者の語りから看護支援ニーズを明らかにすることにした。計画を一部修正したものの、平成26年11月にはインタビュー調査を終え、分析を行い、利用者のニーズをもとに看護への示唆が得られ、学会発表へ向け準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行の2年目である平成27年度は、前年度の研究成果を公表するとともに、得られた結果と先行研究である「精神科デイケア導入期における看護支援モデルの開発(課題番号24890235)」の結果をもとに精神科デイケア導入期の看護支援リストを作成し、リストを用いて看護師を対象に質問紙調査を行い、導入期看護支援リストの検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
1.インタビュー調査のための研究対象者の確保が予定よりスムーズに行え、インタビューの逐語録作成(テープおこし)を業者に依頼しなかったため旅費と人件費の当該助成金が生じた。2.アンケート調査のための封筒・郵送費・統計ソフトなどが購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.デイケア導入期の看護支援内容の実態を明らかにするため看護師を対象にアンケート調査を行う予定である。よって、調査のための封筒・郵送費および分析のための統計ソフトが必要になる。 研究成果の公表のための旅費および翻訳費が必要になる。
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