2015 Fiscal Year Research-status Report
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26870268
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 正法 名古屋大学, 環境学研究科, 学振特別研究員(PD) (60723773)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 検索誘導性忘却 / 記憶 / 抑制 / 視覚的記憶 / 認知的制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある記憶を思い出すことが思い出した対象と関連する記憶を抑制する現象である検索誘導性忘却(Anderson et al., 1994)を取り上げ,昨年度に引き続き非言語的図形を対象とした検索誘導性忘却の研究を行った。本年度は,昨年度行った非言語的図形の検索誘導性忘却について,言語化を阻害した条件を設定し検討を行った。具体的には,前回は非言語的図形に色を付与していたが,今回はその色をなくし,検討を行った。実験の結果,学習した非言語的図形を思い出すこと(検索)が他の非言語的図形の忘却を導くことがわかった。すなわち,言語化を統制した場合でも検索誘導性忘却が生じることが明らかになった。また,検索誘導性忘却は記憶の検索によってのみ生じるという検索固有性という特徴を持つとされている(e.g,Anderson, 2003)。そこで,先で得られた非言語的図形の忘却が真に検索誘導性忘却によるのかを検討するため,検索を再学習に置き換えた条件でも検討を行った。その結果,再学習条件では非言語的図形の検索誘導性忘却が生じないことが明らかになった。この結果は,抑制対象と統制対象の間で「差がない」という仮説をベイズ統計によって検討した場合でも支持された。したがって,先に得られた結果が非言語的図形の検索誘導性忘却であることが再学習条件の検討によって確認されたと言える。これらの研究成果は第34回日本基礎心理学会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非言語的図形の検索誘導性忘却の研究については,再学習条件での検討も行え,概ね順調に進展していると言える。しかしながら,学会やワークショップでの発表や議論を通して,追加実験を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
非言語的図形の検索誘導性忘却の追加実験として,記憶テストでの回答に対しフィードバックを与える実験を行う。その後,顔の検索誘導性忘却の実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
学会での発表及び,検索誘導性忘却の専門家であるDr.Andersonとの議論を通して,追加実験の必要性が生まれたため,そのための実験費用を次年度に向けて確保する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験の実験費用として使用する。
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Research Products
(7 results)