2014 Fiscal Year Research-status Report
ホスト-ゲスト相互作用の制御に基づく超音波応答性を示すナノゲルの開発
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26870374
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井澤 浩則 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50643235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キトサン / シクロデキストリン / ホスト-ゲスト相互作用制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)シクロデキストリンを架橋点に有するナノゲル及び比較実験用ナノゲルの創製 低分子量のキトサンを主鎖にいて、シクロデキストリン(CD)を高分子ネットワーク内に含む構造を有するナノゲル(CD架橋型ナノゲル)の調製を行った。β-CD架橋剤として多置換のカルボキシメチル化β-CDを調製し、キトサンとの脱水縮合反応を行った。ここでは、β-CD架橋剤のカルボキシメチル基の置換度や原料比(キトサン/β-CD架橋剤)を変え、粒径の制御を検討した。その結果、平均置換度を3に調整したβ-CD架橋剤を用いて、同重量のキトサンと脱水縮合反応を行うことで、平均粒径が約100 nmの目的のナノゲルが得られることが分かった。また、比較実験用のナノゲル調製に用いるβ-CDグラフトキトサンも1置換のカルボキシメチル化β-CDを用いて同様に脱水縮合反応を行うことで得られた。このβ-CDグラフトキトサンとトリポリリン酸とを複合化することで、目的の比較実験用ナノゲルが得られることも確認した。また、α-, γ-CDを用いても、β-CDを用いる系と同様にナノゲルが得られることも分かった。 (2)包接能力の確認 抗がん剤であるドキソルビシンを用いて包接能力の確認を行った。その結果、調製したナノゲルは全て、α-,β-, γ-CDと同程度の包接能力を有していることが確認された。特に、γ-CD架橋型ナノゲルが良好にドキソルビシンと包接錯体を形成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった『シクロデキストリンを架橋点に有するナノゲル及び比較実験用ナノゲルの創製』と『調製したナノゲルの包接能力の確認』は達成された。材料創製は、β-CDでのみを行う予定であったが、今後、より多くの知見を得るために、α-, γ-CDにおいても行い、当初の予定よりも多くの材料の創製に成功した。以上のことから、当初の計画通りおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波応答性を証明するために、γ-CD架橋型ナノゲルの超音波照射下におけるドキソルビシンの放出速度と自然放出速度を比較する。また、分子構造の効果を明確にするために、比較実験用ナノゲルの放出挙動も検討する。また、超音波照射下におけるナノゲルへのドキソルビシンへの吸着量を測定し、吸着等温線から相互作用の強さを表す数値である結合定数を算出する。さらに、蛍光測定による結合定数の測定も検討し、多角的に超音波照射が結合定数に与える影響を評価する。
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