2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホスト-ゲスト相互作用の制御に基づく超音波応答性を示すナノゲルの開発
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26870374
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井澤 浩則 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50643235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キトサン / シクロデキストリン / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波応答型DDSを指向してシクロデキストリン(CD)を高分子ネットワーク内に含むゲル微粒子を創製し超音波に対する応答性を評価した。ナノ粒子形成が期待できる低分子量のキトサン (16 kDa) を三置換のカルボキシメチル化CD (CD架橋剤) で架橋することで、CDを高分子ネットワーク内に含むナノ粒子 (CD架橋型キトサンナノ粒子) が得られた。CDをグラフト化しただけのCD複合化キトサンとトリポリリン酸の複合化によって比較サンプルも調製した。ローダミン6Gをモデル薬物に用いて超音波応答性を評価した結果、超音波照射を行わないブランクでは、1.5時間後にモデル薬物の放出が終了するのに対して、超音波照射を行うと、約4倍の遅延放出効果を示すことが分かった。一方で、CDをグラフト化しただけの比較サンプルでは、遅延放出効果は確認されなかった。これらの結果から、CDを分子内に含む高分子ネットワークに超音波照射を行うと、錯体がより安定化すること示唆された。 さらに、CDグラフト化キトサンのがん治療への応用を指向して、包接を利用して抗がん剤であるドキソルビシンとの複合化を行った。その結果、ガンマ-シクロデキストリングラフト化キトサンは、包接を介してドキソルビシンと複合体を形成することが明らかになった。トリポリリン酸を用いて複合体をナノ粒子化することで、包接とイオン結合を介してドキソルビシンとの結合が強化されることが分かった。
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