2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンシャペロン Spt6 の相互作用因子 Iws1 の機能解析
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26870377
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 太陽 島根大学, 医学部, 助教 (40548418)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロマチン / RNAポリメラーゼII / Iws1 / 転写 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、Iws1のエピジェネティック制御における役割を明らかにすることを目的としている。Iws1(Interact with Spt6)は転写中のRNAポリメラーゼII(Pol II)に付随するヒストンシャペロンであるSpt6と直接的に相互作用し、そのヒストンシャペロン活性を負に制御することが示唆されているタンパク質である。平成26年度は、Iws1の細胞内での役割についての手がかりを得るため、当初の計画にもとづいてRNA-seqを行なった。RNA-seqでは、リボソームRNAを除去したRNAと、poly(A)をもつmRNAを対象とした。加えて、Pol IIとヒストンH3を対象としたChIP-seqも行なった。これは以前にも実施したことがあるのだが、データの解析途上で不可解な点が浮上していたので、再度サンプリングとシーケンシングを実施した。RNA-seqとChIP-seqでのマッピングにはそれぞれTophat2とBWAを利用した。得られた情報を統計解析環境Rで詳しく解析した。 RNA-seqの結果、Iws1の不在によって影響を受ける遺伝子は主に本来抑制されるべき遺伝子であり、Spt6のそれと有意に一致することを確認した。あくまでもIws1が補助的因子であることが改めて示唆された。ChIP-seqの結果、以前のデータ解析で見いだしたヒストンの分布への影響の一部が、実は技術的な誤差に基づくことを示唆する情報を得た。また、Iws1の不在は転写開始点におけるPol IIの蓄積を引き起こすことが明確になった。今回の結果は、Pol IIによる転写の開始にIws1が重要な役割を担っていることを強く示唆している。Iws1の転写開始点における機能はこれまでに知られていないのだが、近年は転写開始点とヌクレオソーム構造の近接について注目すべき報告が相次いでいるので大変興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は以下の知見を得ることができたので概ね順調であると考える。1)RNA-seqによってSpt6との機能的な相関が明らかになった。2)ChIP-seqによってIws1が転写開始に関与する可能性が高まった。ChIP-seqについては当初の計画に入れていなかったのだが、解析系が成熟し、より高精度の生データを得られる状況が整ったので実行した。結果的にこれが奏功し、以前の解析に比べると極めて高精度のデータから信頼性の高い知見を得ることができた。こちらの解析に重点をおいたため当初計画していたIws1の変異解析の進捗が遅れているが、Iws1が必要とする細胞内イベントをゲノムワイドに把握できたので、これからはゲノムワイドに要求される普遍的機能に焦点をあてた研究を実行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査において、Iws1がRNAポリメラーゼIIによる転写開始時に要求されることが明らかになった。平成27年度はこれを踏まえ、研究計画に沿いつつ、Iws1がどのようにして転写開始に貢献するのかについて検討する。まず、Iws1の不在によってRNAポリメラーゼIIが転写開始点付近に蓄積するという前年度の知見について、転写開始点からひとつ目のヌクレオソームとの位置的な関係性を詳細に調査する。また、Iws1の不在によって影響を受ける遺伝子に、遺伝子の機能などの性質の偏りがあるかどうかについて、詳細に検討する。
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Research Products
(1 results)