2014 Fiscal Year Research-status Report
クエン酸指示薬として開発したGFP融合タンパク質の蛍光強度変化機構の解析と改良
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26870429
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 裕樹 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 学術研究員 (90583849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光クエン酸指示薬 / クエン酸 / 蛍光タンパク質センサー / バイオイメージング / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
クエン酸はあらゆる生物において検出される有機酸で、中央代謝の制御に関わることから、その細胞内での濃度変化を迅速に検出する技術は有用であると考えている。申請者は、細胞内クエン酸濃度を迅速かつ簡便に精密定量することを目的として、環状異性化変異を加えたGFPをクエン酸との結合により構造変化する細菌由来クエン酸センサータンパク質に挿入することにより、新規なクエン酸指示薬としてのGFP融合タンパク質(申請者がCF98およびCF99と命名した)を作製した。このCF98とCF99について、「①クエン酸認識時の蛍光強度変化機構について解析」すること、および「②性能の改良」を目的として研究を進めている。①ではクエン酸結合時と非結合時の結晶を取得し結晶構造解析に供する計画であった。CF98とCF99の違いはGFPの挿入位置が1ミノ酸ずれているのみである。しかしCF98はクエン酸濃度の増加で蛍光強度が増大し、CF99は逆に減少するという特異な機能を示している。この蛍光強度変化機構を明らかにするため、それぞれのクエン酸結合時および非結合時の結晶構造を解析しようと進めているが、結晶化の条件検討を完了することができなかった。②としては、クエン酸濃度に対する蛍光変化の応答をさらに鋭敏なものに改良することなどを指向して、GFPの発色団付近やセンサータンパク質部位のクエン酸認識に関わる部位への変異を導入することで従来型とは性質の異なる候補をいくつか取得し、詳細を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究として、「①クエン酸認識時の蛍光強度変化機構について解析」すること、および「②性能の改良」を計画した。①では現段階で結晶化条件の検討を終えている予定であったが、これまでのところ完了していない。②では、現在までのところ部位特異的な変異導入法によりクエン酸認識に対して従来と性能の異なる変異体をいくつか得ることができており解析を進めている。当初の計画では、マイクロプレート上で、蛍光クエン酸指示薬であるCF98やCF99の遺伝子を導入した大腸菌を培養し、発現誘導や、変異導入効果をすべてマイクロプレート上で実施する評価系を構築する予定であった。これについては培養や効率的な発現誘導に課題があり、検討を進められていない。以上をもとに達成度を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
「(1)クエン酸認識時の蛍光強度変化機構について解析」すること、および「(2)性能の改良」についてさらに進行していく予定である。①については、クエン酸指示薬としてのGFP融合タンパク質であるCF98およびCF99についてクエン酸結合時と非結合時における結晶構造解析を検討していく。構造解析の結果得られた知見を用いて、クエン酸結合時と非結合時において実際に発色団付近でのどのような構造変化が蛍光特性の変化に影響しているかを理論的に解析する。得られた情報をもとに指示薬としての性能を向上させるために必要な変異箇所について推定し、性能の向上へも利用していく。②については、各種変異導入による性能の向上を実施する。CF98やCF99に対する部位特異的な変異導入だけではなく、エラープローンPCRでのランダムな変異導入により得られた変異体についても解析する。これには多数の変異体を解析することが必要となるが、マイクロプレート上で菌体の培養、タンパク質発現誘導、さらに菌体の破砕やタンパク質の精製を必要しない評価系を構築して効率的に検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも試薬等の物品購入に関わる費用が少額で済み、物品費として予定した額に53,554円の次年度使用額が生じた。また研究成果の学会発表および論文発表を予定し、その経費として旅費100,000円、英文校閲等に50,000円を予定していたが、平成26年度には使用しなかった。そのため203,554円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の申請額との合計は803,554円である。試薬や実験に不可欠な小器具の購入のための物品費として553,554円を予定している。残額は研究成果の論文発表などの成果公表に用いることとし、学会発表のための旅費として200,000円、謝金として50,000円を計画している。
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