2014 Fiscal Year Research-status Report
痒みの伝達におけるヘモキニン-1の役割に関する研究
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26870451
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
船橋 英樹 宮崎大学, 医学部, 助教 (10404435)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | itch / hemokinin-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘモキニン-1(HK-1)は髄腔内投与により引っ掻き行動を誘発する。[Leu11]-HK-1を作成し、ラットへの髄腔内前投与、髄腔内HK-1、サブスタンスP(SP)への影響、および痒み誘発物質であるヒスタミン、セロトニン、痛み誘発物質であるホルマリンの皮下投与への影響を行動実験と免疫組織学的実験を行い、HK-1の働きについて検討した。 ①[Leu11]-HK-1の髄腔内前投与により、HK-1の髄腔内投与による引っ掻き行動の誘発は有意に減少したが、SPによるものは減少しなかった。[Leu11]-HK-1はSPの髄腔内投与には影響を与えず、HK-1に対してアンタゴニストとして作用することを示した。②ホルマリンのラット後肢への皮下投与による後肢の挙上行動について、[Leu11]-HK-1の髄腔内前投与ではPhase I,IIともに挙上数は減少せず、[Leu11]-SPではいずれも有意に減少した。また、脊髄L4-L5部位の後角でのc-Fos発現に関する免疫組織学的検討では、[Leu11]-HK-1の髄腔内前投与ではI/II層においてc-Fosの発現に変化はなく、[Leu11]-SPの前投与では有意な低下を認めた。このことはHK-1の痛みの伝達機構への関与は少ないことを示唆している。③セロトニン、ヒスタミンのラット背部への皮下投与による引っ掻き行動の誘発について、[Leu11]-HK-1、[Leu11]-SPの髄腔内前投与でいずれも引っ掻き行動の有意な減少を認めた。また免疫組織学的検討でも、脊髄L4-L5部位の後角I/II層において、c-Fos発現の有意な減少を認めた。 結果、HK-1、SPの両者が痒みの伝達機構に関連していることを示唆しているが、HK-1は痒み特有の機序に関係している可能性があり、[Leu11]-HK-1は痒みの伝達機構を明らかにするための有用なツールであることを示唆している。以上を学術誌に投稿した(Funahashi H, et al. Neuroscience 277, 206-216, 2014)(Funahashi et al. Therapeutic Targets for Neurological Diseases, 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画はは研究実績の概要に記したとおり、前半部分においては論文として掲載された。後半部分に当たる「[Leu11]-HK-1の一部のアミノ酸をD-Trpに置換したものをラット髄腔に投与して、髄腔内にHK-1を投与してその効果を検討する」という部分については、データは概ね出ており、統計処理の後に学会発表と論文化する段階となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA干渉(siRNA)の手法を用いた実験の推進を検討しているが、上記に挙げた[Leu11]-HK-1の一部のアミノ酸をD-Trpに置換したペプチドが、より長い抗痒効果を有しているデータが出ていることから、ラットの体内における適正濃度の確立と、痒み物質(ヒスタミンやクロロキニン)を皮下に投与することによる引っ掻き行動への影響を検討することを模索している。手技は従来の方法を用いることができる。
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Research Products
(5 results)