2015 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血cell free DNAを用いた網羅的・定量的遺伝子変異解析の探索研究
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26870509
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
赤松 弘朗 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10646582)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | EGFR遺伝子変異 / 肺がん / liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に肺癌に関する末梢血採取からDNA抽出・定量・保管までの体制構築を行った。並行して高感度検出系であるdigital PCRを用いたEGFR遺伝子変異に関するmultiplex検出系を、プラスミド・細胞株を用いた基礎的な検討によって確立した。作成したmultiplex検出系については0.01%以上の検出感度についてduplex assayとの比較を行い、R2=0.99と非常に高い相関が確認された。 引き続いて2年目には、前向き研究として臨床検体を用いた検討を行った。進行期の肺がん患者計63例・健常者17例から文書同意を取得して症例を集積した(本研究については当院臨床試審査委員会で承認すみ)。肺がん患者については腫瘍組織に関する集積を可能な限り行った。血液検体からのDNA抽出は全例で可能であった。これらを用いて、腫瘍組織と血液検体との遺伝子変異の一致状況を検討し、感度・特異度はそれぞれ64%・100%であった。このうち、遠隔転移を有する症例に限ると感度・特異度81%・100%となり、遠隔転移を有さない症例における感度(42%)と比して有意な差が確認された。また、EGFR-TKI耐性例については臨床状況によって組織採取が困難な症例が含まれていたが、血液検体によって耐性変異の有無について確認できた。 以上より、今後のcell free DNAを用いたliquid biopsy研究は進行期症例の中でも遠隔転移を有する者が適している可能性が示唆された。また、再生検が困難な症例における臨床的有用性も示唆された。 以上の結果については2015年度の米国癌学会、日本癌学会、日本肺癌学会総会で報告し、現在論文投稿へ向けた準備を行っている。
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Research Products
(14 results)