2015 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌におけるアンドロゲンレセプターをターゲットとした治療の開発
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26870597
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
新倉 直樹 東海大学, 医学部, 講師 (60459469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳癌 / アンドロゲンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はARのサブタイプごとの発現を比較し、予後マーカーとしての意義を検討した。 対象と方法:2013年に東海大学で針生検や手術により得られた乳癌の検体での免疫染色の解析、公共マイクロアレイデータセット(GEO accession number:GSE2034, GSE7390, GSE11121, GSE16716)から917の原発性乳がんの遺伝子発現についてメタ解析を行い、以下のことを行った。1.ER、PR、Ki-67とサブグループによるAR発現の傾向を比較する。2.サブグループ内でAR高発現と低発現による生存の比較を行う。3.遺伝子発現とIHCを用いてER発現によるARを評価する。 結果:合計307の浸潤癌の検体が得られ、そのうち140(45.6%)がAR陽性であった。ER陽性の241の乳癌検体において116(68.1%)がAR陽性であり、当院の検体ではER発現によるAR発現の違いに明らかな傾向は認められなかった。 一方、マイクロアレイの4つのデータセットでは、すべてデータセットにおいてARのmRNA発現はER陽性乳癌でER陰性乳癌よりも有意に高かった。(P-value = <0.001)すべての乳癌患者でARの発現レベルと予後との関連を検討したところ、AR低発現に比べ、高発現の患者で有意に予後が悪かった。(P-value=0.007) サブグループ別の解析では、ER陽性HER2陰性のグループではARの低発現が高発現に比べ予後不良であったが(P=0.027)、TNBCにおいてはAR高発現が低発現に比べ予後不良の傾向(P=0.056)であった。 結論:ARはER陽性乳癌で発現が高い事が示された。ER陽性乳癌においてはARの高発現は予後良好因子であり、TNBCでは免疫染色でki-67低発現と相関していたが予後不良因子となる傾向が認められた。
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