2015 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境ストレス応答における悪性形質獲得機序の解明
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26870600
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 整 東海大学, 医学部, 講師 (10550551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん微小環境 / 低栄養 / 浸潤 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で得られた結果より、グルコース飢餓による低栄養環境においてLKB1/AMPKを起点とするシグナル伝達の活性化が、がんの悪性形質を促進する側面を捉えた。本年度は、LKB1/AMPKの活性化により誘導されるMMP遺伝子の発現機序について詳細に検討した。グルコース飢餓により、LKB1およびAMPKのノックダウン細胞株は細胞内に活性酸素種量を著明に蓄積することを見出した。しかしながら、抗酸化剤であるN-acetyl cysteineを処理するとグルコース飢餓によるLKB1/AMPKの活性化が減弱するとともに、MMPの発現誘導が認められなくなったことから、MMP遺伝子の発現誘導には酸化ストレス応答に関わる転写因子の関与が示唆された。また、グルコース飢餓環境下において、LKB1/AMPKは細胞内小器官の品質管理に関わるオートファジーを制御する因子であることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、LKB1/AMPKはグルコース飢餓により活性化し、そのシグナル伝達経路の制御下においてMMP遺伝子が誘導されることを確認できた。また、LKB1/AMPKは酸化ストレス制御を担うことや、オートファジーの誘導に関わることなどの新しい知見を得ることが出来た。引き続き、今後の研究展開の推進が十分に期待できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
グルコース飢餓において、LKB1/AMPKシグナルが酸化ストレス応答やオートファジーを惹起し、微小環境に適応していることが示唆された。これまでの研究から得られたLKB1/AMPKを介したMMP遺伝子の発現機序に、酸化ストレス応答やオートファジーがどのように関与しているのかや、それらの現象を繋ぐ詳細な分子機序を検討する必要がある。さらに、他の微小環境ストレス適応における分子制御機序の共通点を見出すため、様々な飢餓ストレスとの連関を探究していく。
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Causes of Carryover |
他のがん微小環境ストレスを模倣するため、非接着細胞培養プレートを作成し、実験系の構築を行っており条件検討を引き続き行う必要があるため。また、グルコース飢餓以外の低栄養環境における類似点や相違点などをさらに詳細に検討する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一般的な実験試薬、および細胞培養などに関連した一般消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)