2014 Fiscal Year Research-status Report
民国期の武術におけるチャイニーズネスの構築と衝突―官/民の「国術運動」を事例に―
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26870636
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池本 淳一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (90586778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / 武術 / 内容分析 / 近代化 / チャイニーズネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民国期における国術(武術の正式名称)の全国普及と近代化政策である「国術運動」の展開の過程を実証するために、戦前中国における武術雑誌・武術図書の内容分析を行うものである。 初年度はそのための基礎資料の購入とテキストデータ入力を行った。 具体的には、武術古籍および近現代の武術出版物を収録した釈永信主編『中国武術大典』(全101巻)と、民国期の主要な武術雑誌を収録した釈永信主編『民国国術期刊文献集成』(全31巻)を中国の古書店から購入した。この購入では全132巻という大量の図書を購入した。なお支払いや郵送の方法について現地古書店と何度も交渉を重ねたために時間がかかり、すべての資料が届いたのは夏季休暇中となった。 その後、資料の下読みをはじめ、最終的な分析計画を決定したのち、年明けからテキストデータ入力を行った。現在、『民国国術期刊文献集成』(全31巻)収録のすべての雑誌の目次および見出しの入力が終了し、基礎的な内容分析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想していた以上に、中国からの高額書籍の輸入・購入の手続きに時間がかかり、結果的に購入に半年以上かかってしまった。また円安や郵送保険料などにより、当初想定していた以上に費用がかかってしまった。これらの時間的・金銭的理由のために、当初予定していた年度末の台湾での資料購入のためのフィールドワークを実施できなかった点で、計画通りとはならなかった。 しかしテキスト入力のための研究補助者として、中国武術の歴史研究を専門とする学内者を得、かなりの正確さとスピードでテキストデータ入力を進めることができた点で、研究自体はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、これらの購入資料による内容分析を補うために、申請者が所有している武術雑誌の見出し・目次のテキストデータ入力を行っている。今後はこれら追加のデータ収集・入力を進めると同時に、内容分析をすすめることで、国術運動の変遷を実証的に明らかにしていく。 また6月に申請者がコーディネイトしたシンポジウム(日中社会学会大会『チャイニーズネスと身体』)が開催されるが、そこに中国武術史を専門とする研究協力者の荘嘉仁副教授(台湾・中国文化大学)をパネリストとしてお招きし、本研究に関する知見を得る計画である。 今後はこれらの成果を国内学会、国際学会、あるいは中国または台湾の国内学会で発表し、分析のブラッシュアップを行っていく。
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Causes of Carryover |
ほぼ予算内で研究を進めることができたが、年度末までに使い切ることができずに389円の未使用が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の諸経費に使用する。
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