2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌個別化補助化学療法実現を目指した臨床試験の検証と全ゲノム解析の実施
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26870919
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
岡村 行泰 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (10704489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵癌 / 免疫染色 / S-1 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院でJASPAC01に参加登録した症例のさらなる追跡調査を行った。全生存期間中央値(MST)は42.8ヶ月であった。GEM群のMSTが30.1ヶ月だったのに対し、S-1群では、前回同様に登録した半数以上が生存しているため、MSTの算出ができなかった。JASPAC01全体と比較し、症例数が少ないため、全生存、無再発生存ともにS-1群の方がGEM群より良好な成績であったが、有意差を認めるまでは至らなかった(P=0.194, P=0.924)。 免疫染色による発現解析については、免疫染色の条件変更が必要となったことから、報告の時点では結果が得られていない。予定より遅れているが、今後も研究計画書通り進める方針であり、免疫染色の結果が得られれば、臨床データとの解析を行い、学会発表、論文作成を行っていきたい。また、免疫染色については、本研究結果が得られた後、JASPAC01全登録患者を対象に研究を進める予定である。 報告の時点では、膵癌に対し外科切除を行った22例の検体を用いて、全エクソン、全遺伝子解析を終了した。膵癌主要4遺伝子のうち、KRASでは15例、TP53では12例、p16では4例に発現異常を認めた。腫瘍組織では、受容体型チロシンキナーゼの発現が亢進している症例が多く、6例でFGFR3、ERBB3の発現亢進を認めた。そのほかの遺伝子ではJAK3、CSF1Rで2例、MET、PDGFRAでは、複数症例において発現亢進しているものは認めなかった。FGFR3発現亢進例では、非亢進例と比較し、無再発生存率が有意に不良(P=0.047)であり、全生存率も有意に不良(P=0.048)であった。
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