• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2014 Fiscal Year Annual Research Report

縦断データの分類手法に関する方法論的研究と教育・発達心理学研究への応用

Research Project

Project/Area Number 26885007
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

宇佐美 慧  筑波大学, 人間系, 准教授 (20735394)

Project Period (FY) 2014-08-29 – 2016-03-31
Keywords縦断データ / 決定木 / 発達 / 潜在成長モデル / 分類 / 構造方程式モデリング
Outline of Annual Research Achievements

小学生を対象に毎年実施して得た身体測定データのように,複数の個人から継続的に測定されたデータを縦断データと呼ぶ.縦断データでは,例えば成長に伴って身長の測定値がどう変化するのかといった,変化のパタンの推定に興味がもたれる.そして,その変化のパタンの個人差(例えば,ほとんど身長が伸びない子もいれば,ある年を境に急激に伸びる子もいる)がどのような個人のプロフィール(例えば,性別)により説明できるのかを調べるための1つの有力な方法として,SEMTreeという分類手法がある.本研究課題では,今年度,1) 大規模シミュレーションに基づくSEMTreeの性能評価研究,2) 大規模縦断データを用いたSEMTreeの応用研究,3) SEMTreeに関する解説論文や専門書の執筆,の遂行を目的とした.
1)は,シミュレーションが終わったため,成果をまとめた論文を執筆中である.また,SEMTreeを実行する上での基礎となるモデル(テンプレートモデル)の誤設定が推定結果に与える影響について今年度さらにより詳しく調べる.しかし,1)のシミュレーションの結果から,テンプレートモデル自体の複雑性やその誤設定が推定結果に与える影響が非常に大きいことが分かった.そのため,2)の応用研究の分析を今後スムースに行うため,用いるテンプレートモデルの候補となる縦断データ解析モデル(一対比較,潜在変化得点,分類,マルチレベルモデル)の開発や数理的性質の解明,および一定の推定精度を得るために必要なサンプルサイズの評価法の開発,といった基礎的研究も新たに同時に行った.
そのため,2)の研究は昨年度は十分に行えなかった.今年度は,上記の成果も生かして,全国高齢者縦断調査や中高生の精神保健調査データを用いた応用研究を行う.また4)については,SEMTreeの解説を盛り込んだ初めての日本語の参考書(1章分)の執筆を行った.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の欄で示したように,目標としていたシミュレーションの実行は昨年度完了したが,その結果から,SEMTreeを実行する上での基礎となるモデル(テンプレートモデル)の複雑性やその誤設定が推定結果に与える影響が非常に大きいことが分かった.これは,例えば2)の応用研究を行う上で,当該のデータの特徴やテンプレートモデルに強く分析結果が依存すること,そしてそれらによって結果が不当に歪んでいるかどうかを判断するための材料が現段階で非常に乏しいことを示唆していた.
そのため,2)の応用研究の分析を今後スムースに行うと同時にSEMTreeの性質をより詳しく明らかにするため,今後用いるテンプレートモデルの候補となる縦断データ解析モデル(一対比較モデル,変化得点モデル,マルチレベルモデル,他の分類モデル)の開発や数理的性質の解明,および一定の推定精度を得るために必要なサンプルサイズの評価法の開発,といった基礎的研究も新たに同時に行った.これらについての研究成果は順次論文としてまとめている段階である.したがって,当初の研究計画とは異なった研究課題が浮き彫りになったが,同時にその解決に資する研究を遂行することができ,これより今年度遂行予定の応用研究を行い分析結果を解釈する上での準備をすることができた.加えて,4)の成果として,SEMTreeの解説を盛り込んだ初めての日本語の参考書(1章分)の執筆を行うことができたことも含め総合的にこれまでの達成度を評価すれば,「おおむね順調に進展している」と考えられる.

Strategy for Future Research Activity

1)スーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーションに基づくSEMTreeの性能評価研究…シミュレーションの実行が昨年度終わったため,その成果をまとめた論文の執筆を進める.また,昨年度十分進めることができなかった,真のモデル構造がより複雑な場合,さらにテンプレートモデルの誤設定の影響について,新たなシミュレーションを行って調べる.
2) 大規模縦断データを用いたSEMTreeの応用研究…応用研究に関わるテンプレートモデルについての基礎的研究(モデル開発,モデルの数学的関係性,サンプルサイズ決定)を先に行う必要があったため,昨年度は十分に行えなかった.今年度は,上記の研究成果も生かして,全国高齢者縦断調査データを用いて,加齢に伴う身体能力や精神的健康の変化のパタンの個人差が,性別や家族構成,および高齢者の保有する経済資源の変数などからどのように分類できるか,に関する老年学への応用研究を行う.さらに精神保健調査データを用いて,思春期の生徒の抑うつ症状の変化のパタンが,睡眠時間や食生活,携帯メールの利用頻度等の生活習慣に関する変数などからどのように分類できるか,に関する保健学・疫学への応用研究を行う.
3) SEMTreeの実行の高速化…連続的な独立変数において,特定のパーセンタイル値(例えば10,20,…,90パーセンタイルの計9個)に対応する分割値のみを利用することで,本来のように全ての観測値を用いた場合の分類結果を近似的に再現するアルゴリズムを開発する.さらに,計算速度がどの程度改善するかとともに,提案アルゴリズムの近似精度の高さをシミュレーションにより検証する.
4)解説論文や専門書の執筆・ソフトウェアの公開とマニュアルの作成…研究1-3を進めた後,それらの成果を踏まえて,SEMTreeの日本語の解説論文や専門書の執筆,またソフトウェアの公開とユーザーマニュアルの作成を行う.

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Bayesian longitudinal paired comparison model and its application to sports data using weighted likelihood bootstrap.2015

    • Author(s)
      Satoshi Usami
    • Journal Title

      Communications in Statistics - Simulation and Computation

      Volume: 44 Pages: in press

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Performances of information criteria for model selection in a latent growth curve mixture model.2014

    • Author(s)
      Satoshi Usami
    • Journal Title

      Journal of the Japanese Society of Computational Statistics.

      Volume: 27 Pages: 17-48

    • DOI

      DOI: 10.5183/jjscs.1309001_207

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 指定討論:媒介分析とマルチレベルSEMとメタ分析についてじっくり聞く2014

    • Author(s)
      宇佐美慧
    • Organizer
      日本教育心理学会
    • Place of Presentation
      神戸国際会議場
    • Year and Date
      2014-11-07 – 2014-11-09
    • Invited
  • [Book] パーソナリティ計量心理学(仮題) 縦断データの分類―決定木および構造方程式モデリング決定木2015

    • Author(s)
      宇佐美慧
    • Total Pages
      20
    • Publisher
      ナカニシヤ出版

URL: 

Published: 2016-06-01  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi