2014 Fiscal Year Annual Research Report
全身性強皮症の皮膚線維化におけるアディポネクチンの役割の検討
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26893054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増井 友里 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師(病院) (80735811)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / アディポカイン / アディポネクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚線維化におけるアディポネクチンの役割を検討するために行った予備実験では、ブレオマイシン(BLM)局注部位における真皮の厚さを投与後2週間の時点で検討したところ、野生型マウスと比較してアディポネクチン遺伝子欠損(adipo-/-)マウスの方がより皮膚の線維化が亢進していた。 そこで、組織の線維化に関与する筋線維芽細胞の数に差があるかどうかを検討するために、αSMA染色を行った。αSMA染色陽性の真皮内の紡錘形の細胞を筋線維芽細胞として細胞数をカウントしたところ、adipo-/-マウスは野生型マウスと比較してBLMにより誘導される筋線維芽細胞が有意に多かった。 次にBLM刺激により皮膚でのアディポネクチンの発現が変化するかどうかを検討した。野生型マウスに対しPBSを局注した群と野生型マウスに対しBLMを局注した群とでアディポネクチン(Adipoq)遺伝子のmRNA発現量を比較したところBLMを打った群で有意に低下していた。 また、病理組織で野生型マウスにBLM局注した群とadipo-/-マウスにBLMを局注した群との真皮の厚さに有意差がみられたため、実際にⅠ型コラーゲン(Col1a2)遺伝子が誘導されているのかを確認するために、野生型マウスにBLMを局注した群とadipo-/-マウスにBLMを局注した群とでCol1a2遺伝子のmRNA発現量を比較したところ、adipo-/-マウスにBLMを局注した群で有意に発現が亢進していた。 以上よりアディポネクチンがBLM誘発強皮症(SSc)モデルマウスにおける皮膚線維化に関与し、アディポネクチンの低下により皮膚硬化が促進することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アディポネクチン遺伝子欠損マウスの実験では、BLM誘発強皮症モデルマウスにおける皮膚線維化にアディポネクチンが関与し、アディポネクチンの低下により皮膚硬化が促進することが示された。これらの結果は我々が過去に報告したびまん皮膚硬化型SSc患者の治療による皮膚硬化の改善に伴って血清アディポネクチン値の上昇及び皮膚硬化の再燃により血清アディポネクチン値の低下がみられたことを始め、SScにおける病状の進行と血清アディポネクチン値の低下が密接な関係にあることを支持する結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト正常および強皮症皮膚線維芽細胞を培養し、アディポネクチン投与による抗線維化作用があるかどうかについてin vitroで解析し、アディポネクチンがSScの皮膚線維化における具体的な機序を明らかにする。
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[Presentation] Adiponectin Is an Endogenous Anti-Fibrotic and Target in Systemic Sclerosis: Novel Link Between Fibrosis and Metabolism.2014
Author(s)
Feng Fang, Roberta G. Marangoni, Xingchun Zhou, Wen Hong, Boping Ye, Asano Yoshihide, Shinichi Sato, Yuri Masui, Chengning Zhang, Katja Lakota, Jun Wei, Monique E. Hinchcliff, Philipp Scherer, Laszlo Otvos and John Varga.
Organizer
2014 ACR/ARHP Annual Meeting
Place of Presentation
Boston, MA, USA
Year and Date
2014-11-13 – 2014-11-18