2014 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部腫瘍に対する頭蓋底手術における軟部組織付き3Dモデルシミュレーションの開発
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26893113
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西尾 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90732719)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 頭蓋底 / シミュレーション / 頭頸部腫瘍 / 3Dモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋底手術は頭頸部外科領域では最も難易度の高い手術の一つであり、術前のシミュレーションが欠かせない要素となる。本研究は頭頸部腫瘍に対する頭蓋底手術において硬組織である頭蓋骨の3Dモデルを作成するのみならず、脳や眼球、大血管、脳神経、筋肉、唾液腺などといった弾力のある軟部組織3Dモデルも組み合わせることで、より実際の手術に近づけた実物大3Dシミュレーションの開発を目的としている。 頭蓋底手術を必要とする頭頸部腫瘍患者の中で、進行鼻副鼻腔癌に対して前中頭蓋底切除術・遊離腹直筋皮弁術を施行した患者を中心にデータの解析と評価を行った。パソコン上での3Dバーチャルイメージを使用したバーチャルシミュレーションと実際の手術後の3DCTを比較して検証したところ、蝶形骨・口蓋骨においても誤差は平均4mm以内であり、予定どおりの切除ができていた。 頭蓋底手術において脳・眼球・耳下腺といった臓器を軟部組織3Dモデルとして再現して、頭蓋骨の3Dモデルと組み合わせた軟部組織付き3Dシミュレーションを開発・応用している。これまで4症例において軟部組織付き3Dモデルを作成し、実際に手術室にてそのモデルを切除するシミュレーションを行った。軟部組織付き3Dモデルにより脳ベラによるトラクションやsupraorbital bar作成、開頭部位などの決定のイメージがわかりやすく、手術計画に有用であった。軟部組織付き3Dモデルのシミュレーションを術前に行うことによって、実際の手術ではありえない角度からの術野アプローチを避けることができ、よりシミュレーション精度を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進行鼻副鼻腔癌に対する頭蓋底手術においては癌を露出することなく、一塊切除が必要であるが、個々の症例で進展範囲が異なることが多い。一塊切除において重要となる切除部位について再検討が必要と判断し、データの解析をやり直したため若干の遅れが生じた。今回の解析にて一塊切除において重要な部分は蝶形骨、口蓋骨が最も重要であることが確認された。今後はその結果もふまえて、外耳道癌に対する側頭骨亜全摘などの他の頭蓋底手術についても検討をしていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部腫瘍全体に対して軟部組織付き3Dモデルシミュレーションを施行していく。 脳、眼球、耳下腺については軟部組織を3Dモデルとして作成することに成功しており、他の臓器についても作成を検討している。具体的には顔面の皮膚の3Dモデルを再現して、頭蓋骨3Dモデルと組み合わせることでより実践的な3Dモデルシミュレーションの作成を予定している。皮膚を付加することで頭蓋底手術におけるアプローチ法について、皮膚切開を含めた軟部組織のアプローチ法と頭蓋骨のアプローチ法をそれぞれ検討することができ、より安全かつ正確で、機能的にも優れた手術方法を選択することが可能となる。また筋肉も再現して付加することができれば、顔面のみならず頸部まで含めた3Dモデルシミュレーションが可能になることが期待できる。
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