2014 Fiscal Year Annual Research Report
日間変動に着目した睡眠時ブラキシズム発症とセロトニン神経活動
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26893157
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三木 春奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (60739902)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに,睡眠時ブラキシズム(SB)の発症頻度とセロトニントランスポーター(SERT)によるセロトニン(5-HT)動態調節機能との関連を明らかにするため研究を行ってきた。重度SB 被験者13名ならびに軽度SB被験者7名において,総SERTならびに各SERTの5-HT取り込み量を測定した結果,重度SB被験者に比べ軽度SB被験者のほうが有意に高い結果となった。この結果から,SB頻度と関連するのは,SERTの5-HT取り込み量である可能性が示唆された。しかし,日間変動を呈することが明らかなSB頻度に対して,5-HT神経系の神経終末の動態調節機能にも短期での機能変化が生じるのかについてはこれまで検討されていない。 そこで本研究では,日間変動を有するSB頻度と5-HT機能の変動との関連を解明することを目的とした。申請書にはSB測定方法として, SB研究のゴールデンスタンダードとなっているポリソムノグラフィー(PSG)を用いる計画であったが,その測定操作や評価が煩雑であり複数夜の測定に手間と期間を要することが想定された。そのため,まず先行研究で使用した簡易貼付型SB測定装置(BiteStrip)の測定精度を検討した。健常者17名を対象に,動画撮影を含むPSGによる咬筋筋活動(EMG)検査とBiteStripによるSB 測定を終夜同時に行った。PSG検査結果をもとにLavigneらの評価基準を黄金率として, BiteStripの各カットオフレベルでの感度・特異度を算出した。睡眠効率が80%以下であった3名を除外した14名を解析対象者とした。PSG検査の診断基準からSB低頻度群6名,無SB群8名であった。低頻度群以上を陽性とした場合の感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正診率はBiteStripスコア1,スコア2間をカットオフとした場合が最も高く,それぞれ1.00,0.88,0.86,1.00,0.93であった。以上の結果よりBiteStripはSB評価ツールとして有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は被験者集積とPSG検査の実施予定であったが,研究を進めるにあたりSB評価の簡便化ならびにその妥当性を検証する必要があった。そのため先行研究にてBiteStripの測定精度を検討した。その結果,SB評価ツールとして有用であることが確認できた。現在は被験者の集積を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
集積した被験者にBiteStripを用いてSB頻度を1か月毎に合計3夜測定する。末梢血血小板上のSERTの機能評価には放射性同位元素を用いた機能評価が必要であり,その測定には時間的制約が非常に多く,頻繁な実験の遂行は困難である。 その解決策として,簡易型SB測定装置であるBiteStripを用いることにより,複数名の被験者のSB評価を同時に施行することが可能となり,その結果その後に予定している[3H+]RI assayでのSERTの5-HT取り込み能の測定やELISA assayによる機能評価を効率よく実施することが可能となることにより研究遂行の実行可能性も高まったと言える。
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