2014 Fiscal Year Annual Research Report
職業性ストレスによる看護師の離職予測と離職予防対策に関する研究
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26893233
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
栗岡 住子 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 特任教授 (20736516)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 職業性ストレス / 看護師 / 離職意思 / 努力-報酬不均衡モデル / 人材マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師を対象とした職業性ストレス(努力-報酬不均衡モデルに基づく努力/報酬比:仕事において費やす努力と、そこから得られる報酬の比。高努力/低報酬状態をストレスフルとする)と離職意思、さらに、その後の離職の有無との関連を明らかにし、看護師の離職予防対策に生かすことを目的として、1年間の前向きコホート研究を実施している。平成26年度はベースライン調査として、2つの医療法人に勤務する看護師1,018人(女性 962人、男性56人)に対して質問紙調査を実施した。その結果、努力/報酬比は、一般労働者と同様の結果であったが、心理的ストレス反応(K6)は、一般労働者より有意に高い結果であった。一方で、リーダーシップ、組織的公正(手続き的公正および対人的公正)、職場におけるソーシャル・キャピタル、上司や同僚のサポートは一般労働者よりも高い結果であった。 高い離職意思と、高努力/低報酬及び心理的ストレス反応は有意な関連が認められた。努力-報酬不均衡モデル調査票の項目別では、努力(例えば、仕事の負担の重さ)の項目よりも報酬(例えば、上司の評価)の方が、離職意思との関連が強かった。一方、高い離職意思は、リーダーシップ、組織的公正、職場のソーシャル・キャピタルによって緩和されることが認められた。これらの結果は、看護師の離職を防ぐための人材マネジメント策を検討する上で参考になると考えられる。 本結果は、あくまで1年目の横断データによる知見であるため、次年度に因果関係を特定し有効な対策を講じるために、質問紙調査と合わせて、調査対象医療法人における管理部門へのインビュー調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた、ベースライン調査に関する一連の計画(調査の準備・実施、データ登録・解析、結果の返却と報告)を遂行することができたので、おおむね順調に進展している。しかし、当初の予定では、質問紙調査を6月に実施予定であったが、対象となる医療法人の調査の受け入れ準備に時間がかかり、質問紙調査実施が12月となった。また、データ登録・解析、結果の返却についても、当初の予定より5カ月程度遅延したため、解析はまだ一部に留まっており、成果発表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、おおむね申請時の予定通り進める予定である。 1. 離職状況の調査:ベースライン調査参加者の離職の有無及び時期、理由について、調査対象医療法人の看護部に調査実施し、ベースラインデータに追加する。 2. フォローアップ調査の確認(平成27年4-5月):調査対象医療法人に対する調査時期及び内容について要望等を確認する。 3. 質問紙調査の実施(平成27年10-11月):平成26年度の質問紙調査の予定が5月から12月に遅延したため、平成27年度については、当初計画した4-5月実施を9-10月実施に変更の予定である。 4. データ登録と結果報告(平成27年11月-平成27年12月):フォローアップ調査終了後、データ入力、クリーニング、および、統計解析を行い調査対象者への返却及び調査対象医療法人に対する報告書を作成する。調査対象医療法人の管理部門及び看護部へ報告する際には、データに基づいて組織や職場のストレスの状況と人材マネジメント策についてインタビュー調査を行う。 5.データ解析と学会発表及び論文化(平成28年2月):ベースラインデータとフォローアップデータを統合する。統合データを解析して、調査対象医療機関のインタビュー調査結果も考慮して、離職予防策を検討する。結果を国内外の学会で成果発表するとともに、論文を投稿する。
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