2014 Fiscal Year Annual Research Report
ドパミントランスポーターイメージングと次世代MRIによるパーキンソン病の病態解明
Project/Area Number |
26893266
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鎌形 康司 順天堂大学, 医学部, 助教 (60568153)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | パーキンソン病 / ドパミントランスポーターイメージ / MRI / 磁化率強調像 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病では、中脳黒質緻密層腹外側に位置するnigrosome-1のドパミン神経変性が強く、近年nigrosome-1の変性をsusceptibility weighted imaging(SWI)を用いて検出できうることが報告され注目を浴びている。パーキンソン病やレビー小体型認知症における黒質線条体ドパミン神経変性の評価のゴールデンスタンダードはdopamine transporter(DAT)ーSPECTを用いる方法であった。そこで、我々はSWIとdopamine transporter(DAT)SPECTを用いてパーキンソン病やレビー小体型認知症などLewy小体病における黒質線条体ドパミン神経を評価し、診断精度を検討した。その結果、SWIを用いた中脳黒質緻密層腹外側に位置するnigrosome-1の評価は、DAT-SPECTに匹敵するパーキンソン病、レビー小体型認知症の診断能を持つことを示した。特にSWIを用いた中脳黒質nigrosome-1の評価はAlzheimer病とレビー小体型認知症との鑑別に非常に有用であった。ただし、DAT-SPECTと同様、SWIを用いても、進行性核上性麻痺や多系統萎縮症、大脳基底核変性症などの神経変性型パーキンソニズムとパーキンソン病との鑑別は困難であった。SWIによる評価はDAT-SPECTと比較してコストが安く、放射線被ばくもない。そのため、病勢評価のために繰り返して検査する事が可能である。診断だけでなく、病勢評価の客観的なバイオマーカーとして、今後の臨床応用に期待がもたれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定したものと同数程度のパーキンソン病患者の拡散テンソル像、拡散尖度画像、3D-T1強調像を撮像することができ、データ収集は良好に進行している。収集した拡散画像を用いてneurite orientation dispersion and density imaging解析を行い、神経突起構造の推定を行っている。またtract-based spatial statisticsやstatistical parametric mappingなどの画像解析ソフトを用いた統計画像解析処理も同時に進行している。さらに各種臨床指標と拡散パラメータ、DAT-SPECT集積との相関解析にも着手している。今後は拡散解析手法の一つである構造的コネクティビティ解析を用いて、脳内ネットワーク解析も行い、更に包括的な評価を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例数の蓄積を進める(PD患者40例、PS患者40例、健常対象者40例程度)と共に、平成26年研究計画の結果を踏まえて更に研究を進める。データ解析から得られた脳血流、脳萎縮、白質障害、黒質ドパミン神経機能の定量値とMini-Mental State Examination(MMSE)やClinical Dementia Rating Scale (CDR)、 Frontal assessment battery at bedside(FAB)などの認知機能検査、Hoehn-Yahr の重症度分類、Unified Parkinoson's Disease Rating Scale (UPDRS)などの一般的なPDの重症度との相関解析を行う。得られた結果を包括的に総合し、神経病理学的に特徴とされる病変の解剖学的部位との関係を検討する。そして、この包括的評価によって、PDの早期診断、PSとの鑑別を可能とするイメージングバイオマーカーを明確にする。
|