1986 Fiscal Year Annual Research Report
加工油脂に含まれるトランス型不飽和脂肪酸の栄養生理機能解析
Project/Area Number |
60303023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菅野 道広 九大, 農学部, 教授 (70038181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筬島 豊 九州大学, 農学部, 教授 (00038184)
木村 修一 東北大学, 農学部, 教授 (70005586)
戸田 隆義 琉球大学, 医学部, 助教授 (30108295)
光岡 知足 東京大学, 農学部, 教授 (30157549)
梶山 梧朗 広島大学, 医学部, 教授 (40034087)
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Keywords | トランス酸 / コレステロール / 胆汁酸 / 動脈硬化 / 胆石 / 血小板 / 血圧 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
1.トランス酸の分析法及び摂取量:SS-10を液相とする溶融シリカキャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフィーによって、脂肪酸の幾何及び位置異性体の分析法が確立され、魚油水添物の分析に適用された(筬島)。トランス酸の摂取量に関し、外科手術時に得られる試料について分析され、脂肪組織に比較的多く(〜5%)含まれることが認められた(新谷)。 2.腸内細菌叢、ステロイド排泄及び体内代謝:ラットの腸内細菌叢にはトランス酸の影響はなかったが、菌種レベルではいくらかの変化があり、より詳細に検討中である(光岡)。トランス酸摂取による糞便中への中性ステロイド及び胆汁酸の排泄増加がラットのみならずマウスでも観察された(辻)。一方、ラット体内に蓄積したトランス酸の消失速度は種々の食餌成分の影響を受け、とくに食餌脂肪やタンパク質のレベルの影響が大きかった(菅野)。灌流肝臓を用いた実験でオクタデセン酸の酸化とエステル化は二重結合のジオメトリー及び位置に依存すること並びに9位にトランス二重結合をもつ脂肪酸で対応するシス酸より酸化速度が遅いことを認めた(菅野)。 3.細胞膜機能及び胆石形成:△9不飽和化酵素活性の低い繊維芽細胞を用いて、トランスモノエン酸は膜の流動性に大きな影響を与えなかったが、膜脂質であるリン脂質の合成酵素活性にはいくらか変化を及ぼした(鬼頭)。マウスにおけるコレステロール胆石形成に対しトランス酸には特別の作用はなかった(辻)。ハムスターでも幾何異性の影響はなく、胆汁酸中ケノデオキシコール酸の上昇が認められ、胆石形成指数は低かった(梶山)。 4.動脈硬化、プロスタグランジン:ウズラではトランス酸食により血清コレステロール濃度が上昇したが、動脈壁に形態学的差異はなかった(戸田)。トランス酸はラットにおける血小板凝集を抑える傾向にあった。また高血圧ラットの血圧上昇を軽減した(木村)。
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[Publications] T.Ide;M.Sugano: J.Biochemistry. 100. 1561-1586 (1986)
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[Publications] Y.-J.Cho;T.Ide;M.Sugano: J.Nutritional Science and Vitaminology. 32. 497-506 (1986)
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[Publications] T.Toda: Virchow Archiv.