1985 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児の言語教育における手指法の活用と社会適応の研究
Project/Area Number |
60410005
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
菅原 広一 国立特殊教育総合研究所, その他, その他 (30000269)
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Keywords | 手指法 / 授業分析 / 両親援助 / 社会適応 / 聴覚障害児 |
Research Abstract |
当該研究課題にもとづく研究を以下の項目によって実施したので、その研究成果の概要を報告する。 1. 聴覚障害児の言語力向上をはばむ要因について。 これについては、聾学校幼稚部における言語指導の実際と聴覚障害幼児とその母親のコミュニケーションの実際を分析することで研究を進めた。 聾学校幼稚部における言語指導では教師主導型の授業が夛くなされた場合に子ども側の主体的言語活動が制限され易く今後の改善が急務であることがわかった。 母子コミュニケーションに関しては、母親に要求される技法的側面、とりわけ聴覚活用、口声模倣、母子共感、手指メディアの使い方などについて専門教師からの相当な援助が必要であることが判明した。 そのための両親(とりわけ母親)への援助プログラムの作成が急がれるものと考察された。 2. 授業分析について。 教育工学的手法による授業分析の結果(聾学校幼稚部,口話法校及び手指メディア使用校)、教師の発言率,発言内容の複雑度,コミュニケーションの連続性などの点について改善の余地があると思われ、今後さらに対象児の言語発達との関連で究明していく予定である。 3. 聾学校中・高等部生徒のコミュニケーションと社会適応について。 今年度は社会一般で用いられている「掲示文」の理解について研究した。 研究は実際の掲示文を採集し(約500文)、その中から最も一般的なもの20文を抽出し、試作テストを作成して行った。 さらにその素材をもとに聾学校中・高等部生徒へのインタビュー法によっての理解度の調査も行った。 その結果、掲示内容の理解は相当にできていても言語の形態による受容と表現の面で遅れが見られた。 聾学校における言語指導の素材の検討が必要であることが判明した。 聴覚障害児の手指メディア活用は上記の上でさらに究明していきたい。
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Research Products
(1 results)