1986 Fiscal Year Annual Research Report
固体の光励起二次元電力系と高密度化による相転移の研究
Project/Area Number |
60420009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 武生 東北大, 理学部, 教授 (10004342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新関 駒二郎 東北大学, 理学部, 助教授 (90004407)
石原 照也 東北大学, 理学部, 助手 (60168250)
野末 泰夫 東北大学, 理学部, 助手 (60125630)
須藤 彰三 東北大学, 理学部, 助手 (40171277)
伊藤 正 東北大学, 理学部, 助教授 (60004503)
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Keywords | 色素と半導体の界面 / 二次元電子励起状態 / 超薄膜 / イオンクラスター法 |
Research Abstract |
交付申請書に記載してある3つの計画の内、第1の計画は【H_2】TPP色素と半導体界面における電荷移動の実体を知ることだが、発光強度の色素膜厚依存性、半導体Sn【O_2】の電気伝導度依存性、および発光の減衰時間に関する同種の依存性を測定した。その結果から色素内にエキシマーが発生し、その状態の正孔にSn【O_2】の伝導電子が流れ込み、一種の電荷移動型励起子が界面に発生する。更にエキシマーの構成物である電子がSn【O_2】に移動するという機構を明らかにした。このことは半導体中の電子密度に強く依存するので、金と【H_2】TPP色素の界面では更に顕著に起こることが期待され、現在実験中である。第2の計画はPb【I_2】超薄膜を用いて、その中に生じる擬二次励起子の動的挙動を明らかにすることである。Pb【I_2】超薄膜をKCI単結晶上に超高真空中で蒸着しその膜厚を変えることによって吸収と発光スペクトルを同時に測定した。その結果によると、膜厚が減少すると量子井戸効果により励起子吸収帯は高エネルギー側に移動し、非常に薄い膜では励起子エネルギーは飛び飛びになる。発光スペクトル上では厚い膜で自由励起子による発光帯が見られるが、膜が薄くなると自己束縛励起子による幅の広いストークスシフトの非常に大きな発光帯が現われ平均の膜が1層か2層の場合にはほとんどこの発光帯のみしか観測されない。このことから超薄膜になると自由励起子のエネルギーが大きくなり自己束縛された方が安定になることが分った。第3の計画はICB法による良質の薄膜の製造である。科研費で購入したICB用電源や広帯域電離真空計を使ってICB蒸着装置を完成させた。その装置を用いてCd Teの蒸着膜を作り、その吸収と反射スペクトルを低温で測定したところである。現在では末だ問題点が多く、今後、改良を進める予定である。
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