1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
駒嶺 穆 東北大学, 理, 教授 (90011494)
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Keywords | 不定胚形成 / 培養細胞 / 分化 / オーキシン / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
60年度においては、まずニンジン培養細胞において単細胞から高頻度に不定胚が分化する実験系を確立した。不均一な培養細胞集団を、10-16μmのナイロン篩で瀘過し、パーコールの密度勾配遠心法で20%のところに沈殿する分画を集めると98%以上単細胞からなっていることが分った。しかしこの単細胞を直接オーキシンfreeの培地に移殖しても不定胚は形成されない。検討の結果、5×【10^(-7)】M2.4-Dで6〜7日間処理することが必須であり、ゼアチン、マニトールの添加等も単細胞からの不定胚形成を促進することが分った。この条件下で培養すると単細胞から細胞塊が形成され、これをオーキシンfreeの培地に移すと約30%の頻度で不定胚形成が誘導された。さらに初めの単細胞集団のなかから、円形で小さく細胞質に富んだ単細胞をミクロピペットを用い手動でピックアップすると、これらの単細胞集団からは上述の処理により85-90%の高頻度で不定胚形成が誘導された。 この実験系を用いて単細胞に遺伝物質をマイクロインジュクションする方法の確立を試みた。まずモデル物質として蛍光色素Lucifer Yellow(LY)CHの注入を試みた。単細胞をマイクロマニュピュレータの下で吸引ピペットと容器の底にcoatingしたGellam Gumで固定し、注入ピペットでLYを注入することに成功した。LYを注入された単細胞を上述の条件で培養すると、約70%の頻度で分裂し、約50%が不定胚に分化した。分化した不定胚には全面にわたって蛍光が認められ、LYを注入された単細胞が分化したことを示していた。 細胞壁のある植物細胞へのマイクロインジェクションの成功例はこれが初めてであり、しかもマイクロインジェクションされた細胞が高頻度で分化することは、この実験系が分化の発生工学的研究にも、導入された外来遺伝子の分化過程での発現機構を研究する上でも、極めて有用であることを示している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Plant Physiology. 79. (1985)
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[Publications] Physiologia Plantarum. 64. (1985)
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[Publications] Physiologia Plantarum. 64. (1985)
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[Publications] Physiologia Plantarum. 64(2). (1985)
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[Publications] Plant Science. (1986)