1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440011
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 哲夫 名古屋大学, 農, 教授 (80023381)
|
Keywords | 抵抗性の作用機構 / 逆相関交差抵抗性 / 光学異性体の殺虫力 |
Research Abstract |
殺虫剤抵抗性対策としては抵抗性の発達を防ぐこと、現実に問題となっている抵抗性を打破する対策の2点が考えられる。いずれの対策においても最も重要なことは抵抗性害虫の特貭を明かにして、抵抗性の本貭を知ることである。 本年度は殺虫剤抵抗性ウンカ・ヨコバイ類では寒天ゲル電気泳動法によって分離される特定のエステラーゼ泳動帯の活性が高く、このエステラーゼの活性と殺虫剤抵抗性との間の遺伝的な関係を知るためマラチオン分解活性とエステラーゼ活性との関係について基貭混合法により両酵素作用が異るものであることを解明し、エステラーゼ活性とマラチオン分解活性とは異る酵素によることを明らかにした。 マラチオン抵抗性トビイロウンカは合成ピレスロイドのフェンバレレートと逆相関交差抵抗性を示すことを明らかにした。そして【^(14)C】-フェンバレレートを用いて抵抗性の作用機構をしらべたところ、フェンバレレート抵抗性には皮膚透過性は関係がなく代謝分解と排池が関与していることが明らかになった。この研究には本研究費により購入された自動試料導入装置、クロマトパック、FPD-7A検出器が活用された。 フェンバレレートは不斉炭素をもち、光学異性体が存在する。したがって【^(14)C】-フェンバレレート光学異性体の昆虫神経組織への透過性、体内分布をしらべ抵抗性との関係をしらべた。S体フェンバレレートはR体よりも著しい殺虫力を示し、ラセン体の殺虫活性にほぼS体により代表されるものであること、【^(14)C】-S体と【^(14)C】-R体とのゴキブリ神経組織への透過性、血リンパおよび頭部への集積量に差異があることが明かになった。この差異と抵抗性との関係を目下研究中である。抵抗性ネダニの交差抵抗性は有機リン化合物のジアルキルヘテロ化合物は交差抵抗性の程度が低くカーバメイト化合物は交差抵抗性がなかった。
|