1985 Fiscal Year Annual Research Report
前頭葉・辺縁系・視床下部系による情動行動発現と自律機能調節の高次統合機構
Project/Area Number |
60440028
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小野 武年 富山医科薬科大学, 医, 教授 (50019577)
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Keywords | サル / ラット / 前頭前野 / 扁桃体 / 視床下部 / 単一ニューロン活動 / 自律機能 / 情動行動 |
Research Abstract |
摂食,飲水,脳内自己刺激および回避行動下サルおよびラットの前頭前野,扁桃体,視床下部外側野および腹内側核における単一ニューロン応答様式,扁桃体または下側頭皮質および扁桃体の局所冷却または麻酔の情動行動発現、自律性反応およびニューロン応答様式へ及ぼす影響などを調べた。 その結果、1)サルでは視床下部外側野における食物の識別と、学習に関与するニューロンの存在、2)これら食物識別ニューロンの食物や非食物の識別に関連した視覚刺激応答および報酬応答の扁桃体冷却による消失または減弱、3)扁桃体における視覚,聴覚,味覚のいずれかに応答する単一種感覚応答ニューロン、すべての種類の感覚刺激に応答する多種感覚応答ニューロンおよび、特定の食物、非食物または音に選択的に応答するニューロンの存在、4)それら食物、非食物選択応答性ニューロンの下側頭皮質局所冷却による非選択応答性への変化、5)扁桃体局所冷却による呼吸、心拍数など自律反応の変化(弱い増加)、6)前頭前野における視床下部外側野と類似の食物識別ニューロンや運動の準備および報酬を期待できる環境事象の認知に関与するニューロンの存在、7)ラットでは、白金イリジウム線電極法により、腹内側核には、睡眠・覚醒に依存して発火頻度の変化するニューロン群と摂食・飲水行動に伴う血糖・浸透圧変化などに特異的な応答を示すニューロン群の存在、8)ガラス微小電極法により、視床下部外側野には、報酬刺激と嫌悪刺激に対して、逆方向の応答を示すニューロンの存在、9)これら報酬および嫌悪刺激応答ニューロンの報酬または嫌悪刺激を予告する手掛かり音刺激への可塑性応答などが明らかとなった。 以上から前頭葉・辺縁系・視床下部系が情動行動と自律機能調節において中心的な役割を果たすと推察される。
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[Publications] Behav.Brain Res. 15. (1985)
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[Publications] Brain Research. 334. (1985)
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[Publications] Brain Research. 327. (1985)
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[Publications] Brain Research. 346. (1985)
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[Publications] Brain Research. 55. (1985)