1988 Fiscal Year Annual Research Report
人体を目標とするH^+ATPaseの遺伝子構造と機能の研究
Project/Area Number |
60440032
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
香川 靖雄 自治医大, 医学部, 教授 (30048962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜本 敏郎 自治医大, 医学部, 講師 (30189625)
平田 肇 自治医大, 医学部, 講師 (40049052)
曽根 〓史 自治医大, 医学部, 助教授 (20049034)
太田 成男 自治医大, 医学部, 講師 (00125832)
|
Keywords | ATP合成酵素 / ミトコンドリア / 培養細胞 / 遺伝子発現 / ミトコンドリアミオパチー |
Research Abstract |
ヒトH^+ATPase遺伝子構造と機能を明らかにするため、当初の計画に従い、本年度は4つの視点から研究を進めた。 (1)ヒトH^+ATPaseβサブユニットの遺伝子発現調節位を決定した。この遺伝子構造は、19塩基対から成り、他のミトコンドリアタンパクであるシトクロムC_1やピルビン酸脱水素酵素αサブユニットのヒト遺伝子上流にも共通の構造が存在した。この調節部位は、逆向きであっても、別の位置につけ加えても、転写を促進し、典型的なエンハンサーであった。このことにより、ミトコンドリアタンパクの発現は同一のエンハンサーにより制御されていることが示された。 (2)血球分化の際のヒトH^+ATPaseβサブユニットの遺伝子発現の変化を検討し、見かけ上、分化に伴いβサブユニットの転子も停止することを見い出した。しかし、分化誘導体の類似体では、分化を誘導せずに、βサブユニットの転写を抑制し、ミトコンドリアも萎縮させた。このことは、ミトコンドリア形成の制御には、独立の機構が存在することを示している。 (3)ミトコンドリアミオパチー患者から、生検筋細胞を培養し、発ガンウイルスDNA(SV40DNA)により、形質転換し、シトクロム酸化酵素欠損細胞を株化した。この株化細胞の樹立によってミトコンドリアミオパチーの病因を明らかにしうる系が確立した。 (4)機能の解折のためには、安定な好熱菌PS3のH^+ATPaseを用いて、中性子散乱法により、ヌクレオチドの結合に伴う構造変化を検出した。また、本酵素を脂質人工二重膜に組み込み、基質濃度を変えて、H^+の移動を電気的に検出し、km値は、外からかかる電圧値に依存しないことが明らかとなった。 以上のように、計画はすべて実行され、成果があがった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Nishikimi: Nucleic acids reserch. 16. 3577 (1988)
-
[Publications] S.ohta: J.Biol.Chem. 263. 11257-11262 (1989)
-
[Publications] M.Otsuka: Nucleic acids research. 16. 10916 (1989)
-
[Publications] Y.Kaqawa: J.Membrane Sci.41. 237-247 (1989)
-
[Publications] S.ohta: Ann.New York Acad.Sci.(1989)
-
[Publications] H.Shimoizumi: Ann.Neurol.(1989)