1986 Fiscal Year Annual Research Report
純系アフリカツメガエルの確立と純系動物を用いた発生遺伝学的研究
Project/Area Number |
60440100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 千明 北海道大学, 理学部, 教授 (90000827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 三郎 東京都老人研究所, 研究員 (00164434)
栃内 新 北海道大学, 理学部, 助手 (20111148)
若原 正己 北海道大学, 理学部, 助教授 (00001868)
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Keywords | アフリカツメガエル / 純系 / 組織適合遺伝子複合体(MHC) / 胸腺 / 免疫寛容性 / T細胞抗原 / 血球幹細胞 / 始原生殖細胞 |
Research Abstract |
(1)近交系アフリカツメガエルJ系は順調に繁殖維持され、国内外の研究者からの要請に応じて供給も行われている。また雌性発生法で作出された組織適合集団K系も【F_5】に達しており、J,K,J/Kの3系統が確立したといえる。(2)前年度分離同定されたC4につき等電点電気泳動によってアロタイプを分析した結果、それがMHCに強くリンクしており、多分MHCのclass【III】域を形成する遺伝子に支配されていると推定される。(3) 三倍体J系個体(MHCハプロタイプjjj)を胸腺摘除し、これに二倍体(jk)個体の胸腺上皮組織を移植することによりもたらされる細胞性免疫能力を解析した結果、同能力の回復がkハプロタイプに対して反応するリンパ球クロンの欠除を伴った特異的変容性に基いていることが明らかになった。(4)J系胸腺細胞を抗原として作出された単クロン抗体と反応するT細胞特異抗原(XT-1)は、NFst.48の胸腺にはじめて出現し、ついでst,52までに脾臓,肝臓,腎臓に出現する。この抗原を保有する細胞はst.48・49ではリンパ芽球をも含むが、st.52以降の胸腺その他のリンパ器官では典型的小リンパ球であり、幼生期の胸腺摘除によって同陽性細胞は完全に消滅する(5)前年度明らかにされたst.22尾芽胚の腹部血島(VBI)中胚葉の血球幹細胞の行動をX.laevisとX.boreclisのキメラ個体について細胞追跡した結果、胸腺リンパ球はVBIから循環系を経てさらに間充織に出た細胞が受精後4-5日目の胸腺原基に侵入することにより形成されることが明らかになった。VBI由来細胞は、中腎域でも血球分化に参加することも示された。(6)fluorescence dextran amine (FDA)を初期胚(2〜16細胞期)の割球に注入した後、種々の発生段階の胚でFDAの局在をしらべた結果この蛍光色素が細胞系譜を追跡するための極めて優れたマーカーであることが確かめられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Katagiri,C.;M.Ma【e!´】no;S.Tochinai: Curr.Topics Dev.Biol.20. 315-323 (1986)
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[Publications] Nakamura,T;A.Sekizawa;C.Katagiri: Immunogenetics. 23. 181-186 (1986)
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[Publications] Ohsumi,K;C.Katagiri;R.Yanagimachi: J.Exp.Zool.237. 319-325 (1986)
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[Publications] Wakahara,M.: Dev.Growth,Differ.28. 543-554 (1986)
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[Publications] Nagata,S.: Dev.Biol.114. 389-394 (1986)
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[Publications] Maeno,M;T.Nakamura;S.Tochinai;C.Katagiri: Transplantation. 42. (1987)
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[Publications] 大塚英司,玉野井逸朗,片桐千明: "国税免疫生物学入門" 朝倉書店, 132 (1986)