1985 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ガングリオシドの探索,作用機作とその有効利用に関する研究
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60440102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 克孝 東京大学, 医, 教授 (80072974)
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Keywords | ガングリオシド / 神経突起伸展作用 / タンパクリン酸化 / 腎細胞株 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究補助金により我々の研究は飛躍的に進展した。本年度の研究実績を要約すると以下の様になる。 1)神経芽腫瘍細胞の神経突起伸展作用に対するGQlbの構造活性相関の解析が完了した。その結果、テトラシアロ構造が絶対に要求されること、特に還元末端Gal結合ジシアロ基、内部Gal結合ジシアロ基の内でどの一残基の欠如も活性の消失をもたらすことが明らかとなった。また、GQlbのオリゴ糖部分のみを調製し、その作用を調べた結果、糖鎖部分にも活性が低い乍らも認められることから、このオリゴ糖鎖を認識する受容体の存在が分かってきた。 2)ガングリオシドの神経突起伸展作用とNGFのそれとの相互関係については細胞形態上では区別がつかないが、タンパク合成、核酸合成、様々な酵素活性などの生化学的パラメーターに関しては、NGFに比較して、GQlbの作用は短期間のみ持続する点で異なっていた。 3)ガングリオシド依存性タンパクリン酸化機構が細胞膜に存在することを発見した。神経芽腫瘍細胞GoToの場合、この機構のガングリオシド特異性と神経突起伸展作用のガングリオシド特異性とは良く一致した。從ってこのタンパクリン酸化機構と神経突起伸展との関連を明らかにすることは極めて重要であるとかんがえられ、今後の詳細な検討が必要となった。 4)PTH感受性MDCK腎細胞株について、腎ガングリオシドのみが水イオン輸送促進効果を持つことをつきとめた。今後はこの作用を担っているガングリオシド分子種を明らかにするとともにその生化学的生理学的機能を検討することが必要である。 5)遺伝子導入実験系については、アデノウイルスのDNA断片Elaを用いることによって、GD3合成酵素(シアル酸転移酵素)の誘導あるいは活性化を引き起こし得ることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J.Biochem.97. (1985)
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[Publications] Glycoconjugates(8th Proc.Int.Symp.). 2. (1985)
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[Publications] J.Biochem.98. (1985)
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[Publications] Exp.Hematol.13. (1985)
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[Publications] INSERM. 126. (1984)