1986 Fiscal Year Annual Research Report
森林植生の成立,維持に対する地表面植生の役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
60480006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊野 良夫 早稲田大, 教育学部, 教授 (30063697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 美奈子 早稲田大学, 教育学部, 副手 (80063733)
大島 康行 早稲田大学, 教育学部, 教授 (40063250)
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Keywords | 植物群落 / 木本実生 / 遷移 / 蘚 / 地衣 / 土壌動物 / リター森林 / 地表面植生 |
Research Abstract |
研究は富士山および長野県追分で行われている。また、地表面植生成立に関する基礎的知見を得るために南極昭和基地周辺の土壌と蘚類群落試料も使用した。 富士山五合目御庭は森林限界にあたる。溶岩上には倭性のカラマツ,ハンノキ,ダケカンバが点在し、これらの実生も多い。地表面にはシモフリゴケの群落が凹部に成立している。木本植生の実生のほとんどは枯死するものと予想され、それは微地形によるものと考えられる。35【m^2】と25【m^2】の調査区を3個設定し、そこに存在する木本実生のすべてを記録し、その生死と微地形との関係を解析した。裸地の蘚2種と近くのシラビソ,ダケカンバの優占する森林の蘚5種を用いて、それらの生育にかかわる光合成活性と含水率との関係,乾燥しやすさについて比較検討した。その結果、裸地の蘚群落は実生の生育場としては適していないことが明らかになった。裸地のシモフリゴケ群落では昨年度にひきつづき、チッ素集積作用について一連の測定を行っている。浅間山のふもとの追分の火山礫地につくられたカラマツ,ヤマハギの純および混合群落で土壌形成過程が有機物蓄積と土壌動物相,量の面から昨年度にひきつづき行われている。また、ススキ群落2カ所での侵入木本実生の調達が行われた。南極のような高等植物が生育しえない環境下で蘚の生育は低温よりも水によって支配されていることが明らかになりつつある。この知見は高山に木本が侵入することを考える上に重要である。 これらの結果は第33回日本生態学会大会(京都)1986年4月,第51回日本植物学会大会(鹿児島)1986年10月,第34回日本生態学会大会(沖縄)1987年4月で発表された。交付申請書に記載しなかったD/Aコンバーター付電子上皿天秤を購入した。これは研究の進行によって蘚類の乾燥を連続測定する必要を生じ、そのために使用した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] INO Y.;NAKATSUBO T.: Ecological Research. 1. 59-69 (1986)
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[Publications] NAKATSUBO T.;INO Y.: Memoirs of National Institute of Polar Research. E-37. 1-10 (1986)
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[Publications] NAKATSUBO T.;INO Y.: Ecological Research. 2. (1987)