1986 Fiscal Year Annual Research Report
フソバクテリウムネクロホラムの細胞毒性物質に関する研究
Project/Area Number |
60480087
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鹿江 雅光 山口大, 農学部, 教授 (00035099)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 一成 山口大学, 農学部, 助教授 (60085628)
|
Keywords | 壊死桿菌 / 白血球毒 / 細胞毒性物質 / ロイコシジン / フソバクテリウム / 第一胃 / 肝臓 |
Research Abstract |
家畜病原菌の1つ、フソバクテリウムネクロホラムは各種の細胞毒性物質を産生するが、それらの詳細な生物活性,作用機序は殆んど明らかにされていない。この点を解明することは本菌の病原性発現機構の解析に有用であると共に感染防御抗原を検索する上においても有益な知見となる。そこで、本菌由来細胞毒性物質のうち、特にロイコジンについて牛第一胃上皮細胞ならびに同肝細胞に対する細胞毒性を検討したところ、以下のような結果を得た。 1.と場より入手した牛第一胃より粘膜上皮細胞を採取し、本菌由来部分精製ロイコシジンを作用時間ならびに使用力価を変えて作用させた。その後、被検細胞をトリパンブル-排除試験および走査電子顕微鏡により検討したところ、トリパンブルー取り込み細胞が時間および使用毒素力価依存性に増加して観察された。さらに、走査電子顕微鏡所見では細胞表面の微絨毛の損失および細胞膜の部分的破壊が認められた。なお、細胞溶解性変化は観察されなかった。 2.本細胞障害作用は抗ロイコシジン血清により中和された。 3.牛肝臓よりコラゲナーゼ処理により調整した肝細胞にロイコシジンを作用させたところ、第一胃細胞における所見に類似した結果が得られた。 4.マウス腹腔遊出細胞と共に感受性を検討した結果、マウス腹腔細胞、牛第一胃細胞,同肝細胞の順に感受性が低下した。 以上の成績から本ロイコシジンがフソバクテリウムの牛への病原性発現に一役を荷うことが明らかとなった。これらの成果は原著として投稿または準備中である。最終年度は溶血毒との異同,細胞毒性物質に対する牛抗体の検索について検討する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] KANOE Masamitsu et al.: Zentralblatt f【u!¨】r Bakteriologie Mikrobiologie und Hygiene series A. 261. 170-176 (1986)
-
[Publications] ISHI Toshiaki et al.: FEMS Microbiology Letters.
-
[Publications] 鹿江雅光: 日本獣医師会雑誌. 40. (1987)