1986 Fiscal Year Annual Research Report
生体内の血液線溶系におよぼす蛇毒脱フィブリノーゲン剤の影響
Project/Area Number |
60480287
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Research Institution | The Japan Snake Institute |
Principal Investigator |
外間 安次 蛇族研, その他, 研究員 (20120305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 孝志 財団法人日本蛇族学術研究所, 蛇毒研究室, 研究員 (10170185)
川村 善治 財団法人日本蛇族学術研究所, 沖縄支所, 支所長 (30109855)
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Keywords | 血液線溶系 / 蛇毒 / トロンビン様酵素 |
Research Abstract |
ヒメハブ毒中のトロンビン様酵素(TLE)の精製は従来の方法に加え陽イオン交換樹脂Bio Rex 70を用いることにより、さらに精製度が高まった。TLE-【I】及び【II】はウサギ皮内で出血活性、マウス足蹠で腫脹を有するが、酸性の条件下で処理することによってその活性は消失することが解った。ラット左大腿静脈にTLE-【II】を200μg注入後、経時的に右大腿静脈より採血し、フィブリノーゲン,プラスミノーゲン及びFDPを測定した。フィブリノーゲン値はTLE-【II】投与前に比べ投与10分後には40%に減少したが、6時間後には74%まで回復した。FDPの値は投与前の2.5μg/mlに比べ投与10分後には80μg/mlと可成りの高値を示したが、6時間後には投与前の値に戻った。一方、プラスミノーゲン値は僅かの増加傾向がみられた。TLEの精製にArg-Sepharose 4Bによるアフィニティクロマトグラフィーを試みたが、全蛋白質が非吸着画分に流出したので今後吸着条件を検討したい。 TLE-【I】及び【II】のpH安定性をクエン酸-クエン酸ナトリウムの系及びトリス塩酸の系で検討し、何れもpH6〜8で安定であった。熱安定性については30℃で30分間インキュベートしても失活しないが、温度を上げると活性が減少していった。また、長期保存による安定性については安定剤及び防腐剤存在下、凍結及び凍結乾燥状態で冷凍(-20℃)保存すると1年で残存活性は76%であったが、凍結乾燥サンプルの室温保存だと残存活性は約30%であった。 人工血栓についてはStasis Thrombus法及びEllagic acid投与とStasis Thrombus法の併用で検討中であるが、従来の方法より緊縛時間を長くすることにより血栓の出来高が良くなったので、今後TLEによる血栓溶解について検討したい。
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