1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480304
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
角田 司 長崎大, 医学部, 講師 (00110841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 則博 長崎大学, 医学部付属病院, 医員
元島 幸一 長崎大学, 医学部, 助手 (00182171)
山口 孝 長崎大学, 医学部, 講師 (10133175)
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Keywords | 膵組織片自家移植 / 残存膵再生 / 膵部分自家移植 / 膵空腸吻合術 / 膵膀胱吻合術 / 膵自家移植の臨床 |
Research Abstract |
1.膵の再生に関して膵組織片自家移植の影響に関する研究 雑種成犬を用いて90%の膵亜全摘の後、切除膵を用いて既報の方法により膵の組織片を作製して、脾臓内へ自家移植し、膵亜全摘犬を対象として、その膵内分泌機能や残存膵の再生率を比較検討した。 膵移植犬の耐糖能は長期にわたり正常値を示したが、膵亜全摘犬では漸次Sandmeyer型糖尿病に移行を示した。また膵移植犬の残存膵では膵亜全摘犬と比較して、その重量増加率ならびにラ島容積増加率の著明な上昇を認めた。 以上より、膵亜全摘兼切除膵組織片自家移植により、残存膵は著明な再生現象を呈することが判明し、本法は臨床的応用の価値が高いものと考えられた。 2.自家膵部分移植に関する実験的研究 膵部分移植に際して問題となる膵液処理法に関して、自家膵部分移植モデルを作製し、膵管腹腔内開放群,膵管内neoprene注入群,膵空腸吻合群,膵膀胱吻合群の4群にわけて、移植膵の耐糖能や組織学的所見を比較検討した。膵管の腹腔内開放群とneoprene注入群では、経時的にその耐糖能は低下を示し、移植膵は委縮し組織学的にも著明な膵線維化を認めた。一方膵空腸吻合群や膵膀胱吻合群においては、その耐糖能は長期にわたり正常域にあり、膵は正常の形態を保っていた。 以上より膵の部分移植に際しては、空腸または膀胱と移植膵の吻合が望ましいものと考えられた。 以上過去2年間の実績を踏まえて、ヒト切除膵の自家移植の臨床応用をはかり、さらに血管吻合による同種膵部分移植の実験的研究についても着手している。
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[Publications] 土屋凉一: 胆と膵. 4. 387-391 (1986)
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[Publications] 松尾繁年,角田司,原田昇,土屋凉一: "消化器外科セミナー,25;289〜304(再発形式からみた膵癌治療のあり方)" へるす出版, 5 (1986)