1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480438
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
道 健一 昭和大, 歯学部, 教授 (40013891)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 篤 昭和大学, 歯学部, 助手 (50175501)
斉藤 健一 昭和大学, 歯学部, 講師 (20119192)
鈴木 規子 昭和大学, 歯学部, 講師 (10112731)
吉田 広 昭和大学, 歯学部, 助教授 (80014330)
大野 康亮 昭和大学, 歯学部, 助教授 (30112725)
|
Keywords | 構音 / 舌運動 / 口唇運動 / 顎運動 / ダイナミックパラトグラフィー / 高速度16mm映画法 |
Research Abstract |
昨年度は高速度16mm映画法とダイナミックパラトグラフィー(DP法)を同期した構音運動の観察方法を確立した。今年度は本法を用いて健常成人および舌癌術後患者の構音運動について分析を進め、次のような結果を得た。 健常成人男子のIasaI,IataIの1例について詳細な検討を加えたところ、IsI音産生中に舌運動、下顎運動とも変化するがDPの最大接触時には最上方最前方位で安定し、垂直的に最もCO(中心咬合位)に接近することが判った。また、ItI音産生過程においては、DPの最大接触時を過ぎてから下顎が最小開口位に達し、下顎が下方移動を始めた後に舌前方部での声道の開放が行ることが明らかとなった。つまり、破裂音ItI産生において下顎の開口運動が舌の開放に先行することが判明した。この結果は従来の報告にはなく、新しい知見であると考えている。 舌癌術後患者については発語明瞭度検査の結果から舌前方部で構音する音のうち最も明瞭度が高いISI音(正答率100%)と最も明瞭度の低いItI音(正答率13%)について検討したところ、ISI音産生過程においては舌のみで不十分な狭めを口唇を用いて補っていることが明らかとなり、さらにISI音産生中は残存舌、口唇、下顎を微妙に調整して声道を刑成しているものと推察された。ItI音産生過程については、サウンドスペクトログラム上に見られる破裂音の産生は口唇によるものであることが判明し、舌のみでは不可能な声道の閉鎖・開放を口唇で代償していることが明らかとなった。しかし、その後に舌の緩徐な破裂様運動が認められ、本症例では舌と口唇の両方を用いてItI音を産生しているものと思われた。
|
Research Products
(2 results)