1986 Fiscal Year Annual Research Report
空気嚢炎症法による炎症およびアレルギーのケミカル メディエーターの研究
Project/Area Number |
60480459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鶴藤 丞 東北大, 薬学部, 教授 (40012596)
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Keywords | 空気嚢型炎症モデル / ブラジキニン / ロイコトリエン-B / カオリン / カラゲニン |
Research Abstract |
(1)ブラジキニンについて:いわゆる血液凝固系を活性化してブラジキニンを産生させることが知られているカオリンまたはカラゲニンによって誘発されるラットの空気嚢型炎症実験モデルの初期相ではブラジキニンが極めて短い時間の間だけエンザイムイムノアッセイで測定可能な0.7-5ng/mlの程度に存在しており、これに対してブラジキニン産生酵素であるカリクレインの強力な阻害薬であるSBTIを局所適用するとブラジキニン濃度、血管透過性ともに著しく低下する。このことよりブラジキニンは血管透過性反応に明確に寄与していることが明らかになった。しかしいずれの場合も遅くとも2時間以内に検出されなくなる。その理由は炎症組織からブラジキニン分解酵素であるキニナーゼ-【II】が放出され炎症局所で産生されるブラジキニンを速やかに分解してしまうからである。このことはキニナーゼ-【II】の阻害薬であるカプトプリルを炎症局所に適用することにより、ブラジキニン濃度、血管透過性ともに著しく上昇することから証明される。 (2)ロイコトリエンB4について:本研究室で開発した各種の空気嚢型炎症モデルの中で最も白血球浸潤の大きいタイプのモデル炎症であるアレルギー性炎症およびザイモサン誘発炎症の白血球浸潤期の浸出液中にロイコトリエン【B_4】(LTB4)が数ng/ml程度の濃度に存在することが判明した。ところが最近合成されたリポキシゲナーゼ阻害薬でLTB4の濃度を80%以上抑制しても白血球浸潤は全く抑制されないと言う意外な事実が発見され、LTB4の生理的な役割を再検討する必要のあることが判明した。そこで、この問題を追求するため炎症浸出液の白血球走化活性をボイデンチャンバー法によって検討したところ浸出液中にLTB4以外の強い白血球走化因子があり、LTB4の産生を阻害しても全白血球走化活性は低下せず炎症局所での白血球走化にLTB4は大きな役割を持っていないことが判明した。
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